人のつながりを再生する、街のデザイナー

新世代リーダー 山崎亮 コミュニティデザイナー

意外なことに、つながりが強いほうが会話の種類が少ないという。職場では仕事の話が中心だし、家族の会話も実はそれほど幅広くない。逆に弱いつながりの人とは、きのう見たテレビの話、旦那の愚痴など、たわいない話を延々としていられる。

心に傷があるときに相談しやすいのは、この弱いつながりのほうだ。家族には心配をかけたくないし、職場の人には弱みを握られたくないこともある。強い結び付きの人には「つらい」という本音を打ち明けにくいのだ。

「だから企業の活動よりウイークタイズのほうがいいと思った。まちづくりのようなテーマ型のコミュニティをつくることが解決策になると考えた」

しかし、弱いつながりは切れやすい。そこには結び付ける“楽しさ”が必要になる。たとえば、バスケットボールのサークルだったら、みんなでコート代とボール代を出し合ってバスケットボールを楽しみ、練習の後でビールを飲みに行ったり、みんなで旅行をしたりする。

それだけでも楽しいが、自分たちだけで活動していると、だんだん飽きてくる。

「やはり活動に対する報酬がほしい。バスケットボール教室を開けば、参加した子供たちが上達して地域のための活動になり、周りの人に感謝される。それが報酬になる。活動すればするほど地域から感謝され、またやりたくなるという好循環が生まれる」

建築物なしに、グッドデザイン賞を受賞

スポーツのほか、囲碁、将棋、楽器の演奏でもいい。商店街のアーケード、空き店舗で活動すれば、中心市街地活性化にもつながる。来た人たちが買物をして帰れば、商店街が少し活気づくかもしれない。

そんなことを考えていた山崎さんは、大学院を経て設計事務所に6年勤め、2005年に独立してstudio-Lを設立した。建築のハードのデザインはしない、人と人をつなぐ仕事をする、と宣言したものの、周りからは「本当にやっていけるの?」と心配された。実際、最初の何年かは、設計事務所の仕事を手伝って収入を得ていた。

事態が好転したのは2011年だった。島根県の離島の海士町での仕事と、鹿児島市のデパート、マルヤガーデンズでの取り組みがグッドデザイン賞を受賞したのだ。目に見えないコミュニティデザインにデザイン賞が贈られることに、驚いた人も多かった。

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