「会議で沈黙する人」に決定的に足りない視点 そこに「相手目線」はありますか?

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相手が役員の場合、もう1つ気をつけるべきポイントがあります。想定問答と手持ち資料を「持参」するだけでは足りないという点です。

多くの役員は、発表内容はもとより発表者、つまり「人」を重点的に見ます。「自分の質問に即答できるほど、こいつは考え抜いているのか?」を質疑で確かめ、「この件を任せて本当に大丈夫か」を判断するためです。そのため、役員レベル相手の会議では、作り込んだ想定問答や手持ち資料をチラ見しながら、質問にモタモタ答えること自体が、マイナス評価につながりかねません。「こいつは重要な数字や、役員レベルの懸念ポイントまで考え抜いていない」と判断されてしまうからです。

したがって、役員レベルが相手の会議は、想定問答と手持ち資料の数字や内容まで頭にたたき込んだうえで臨むことが望ましいといえます。たとえば、筆者が以前お世話になったトップコンサルタントは、役員レベル相手に提案プレゼンを行う前に、一人部屋にこもってプレゼンだけでなく、質疑応答のシミュレーションまで入念に行うことをルール化していました。その場で端的に答えられることが信頼を生むと知っているためです。

「相手目線でどれだけ考え尽くしているか」がものを言う

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ここまで相手の立場(肩書)に応じて想定問答と手持ち資料の準備範囲は変わる、というお話をしてきましたが、相手がどのレベルの人であれ、共通して大事なことは「相手のことをどれだけ考え尽くしているか」です。

あらゆる仕事には「届け先(相手)」がいます。会議であれば参加者、資料であれば読み手、会話であれば聞き手が「届け先」にあたります。そして、仕事を進めるには「届け先」の人に動いてもらわなければなりません。動いてもらうには、行動にストップをかける要素を取り払う必要があります。その要素の代表格は「疑問」であり、「その疑問はもう解決済みだ」と伝えることで、相手は初めて行動を起こしてくれます。

会議に向けて「想定問答と手持ち資料」を準備することは、会議参加者の疑問を先回りして考えることにほかなりません。「○○さんはなにが知りたいだろう」「△△さんはなにを気にするだろう」……このように、想像力を働かせて相手目線で考え尽くすことが、想定問答と手持ち資料の準備において、最も重要なファクターといえます。

華麗な質疑応対を通じた「信頼感の獲得」、そして会議の成果である「参加者の行動」。これらの価値の源泉は「相手のことを考え尽くすこと」なのです。

NAE ブロガー、外資系コンサルティング企業管理職

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なえ

1980年代生まれ。早稲田大学・東京大学大学院で情報工学を学んだのち、外資系コンサルティング企業に入社。ITを軸とした戦略策定と企業変革に従事。金融や小売業を中心にM&Aに伴うシステム全体像の策定、小売業基幹システムのグローバル展開プランニング、製造業のIT戦略策定など、業界や国内外を問わず億円規模のプロジェクトを多数経験。その傍ら「テクノロジーの目利き」として、ITの進化に伴う将来のビジネスのあり方や影響を見通し啓蒙する活動に5年以上参画。ここ数年は社内の新入社員研修やクライアント企業の勉強会で講師としても活躍。「清く、正しく、泥臭く」をモットーに地に足のついたコンサルティングを得意とする一方、「こうしたほうが早くない?」が口癖の効率マニアでもある。

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