アドテクの「ジーニー」が描く世界戦略の中身 工藤智昭社長にロングインタビュー

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工藤智昭(くどう ともあき)/早稲田大学大学院理工学研究科で充足可能性問題(AI)の研究の傍ら、インターネット広告ベンチャーの起業と経営を経験。卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)入社。事業開発室にてアドネットワーク事業推進を行い、リクルートの広告を起点として、日本最大のエリアアドネットワークの構築を手掛ける。2010年4月、ジーニーを設立、代表取締役社長に就任。2012年8月 Geniee International Pte., Ltd.を設立、Representative Directorに就任(写真:Signifiant Style)

工藤:アドテク分野は、もともと自分がやりたかった技術力が勝負を分ける分野で、この技術が広告業界や世界を変えるかもしれないと思っていました。当時、アドテクの基本技術であるRTB(リアルタイムビッディング)や、その頃アメリカでRTBやアドテクの会社が伸びそうだということに関して、日本での認知度はほとんどなく、ようやくブログに書かれるかどうかという程度でした。そういう状況でしたから、リクルートがアドテク分野に本気でコミットするのかどうか分からなくて、それなら自分で起業してみようと思って決断しました。

村上:その後、孫正義さんと会われて、経営者としてもいろいろ刺激を受けられて、また会社としても提携に至ったというストーリーを拝見しましたが、起業の前から面識はあったのですか?

工藤:孫さんと知り合ったのはソフトバンクアカデミアに入ってからです。アカデミアに入ったのもいろいろ逆算してのことでした。三木谷さんのそばで働いていた人がジーニーに面接を受けに来たことがあったのですが、そこでその人に三木谷さんが普段どういうことを考えて、どんなことをしているのかヒアリングしたんです。その中で印象に残ったのが、提携したい相手と半年や1年前からプライベートで仲良くなるということでした。

当時、アドテクが伸びていく中で、世界的な企業と組んだほうがいいと考えていました。その相手は日本の中だとソフトバンクだろうなと思っていたんです。それでソフトバンクアカデミアの試験を受けて参加したんです。行ってみるとソフトバンク内部の幹部もいれば外部の経営者もいました。内容もめちゃくちゃ面白かったです。孫さんの話を伺うと、自分なんて本当にまだまだだと毎回感じます。もっと頑張らねばと気合が入ります。

着実にプロダクトを積み上げて面を取る

村上:プロダクトについて教えてください。現在はフルラインナップで事業を展開し、またMAJINというプロダクトで自動化にも挑戦されています。世のアドテク企業はフルラインナップだけではなく専業型、また専業型でもDSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)専業など様々な企業が乱立しています。その中で当初SSP(サプライ・サイド・プラットフォーム)から事業を始められたのはなぜでしょうか?

ジーニー説明資料より
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