アドテクの「ジーニー」が描く世界戦略の中身 工藤智昭社長にロングインタビュー

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工藤:海外で営業組織とテクノロジーを確保するために買収をしていたんですが、その際の株式の評価損です。その件を通じて、買収の難しさがわかりました。「勉強」と言うと怒られますけど、買収において何が大変かわかりました。

でも、今後M&Aをやらないということではありません。先ほどは自社開発が優先というお話をしましたが、一方で特に自社で持っていない要素や技術を持っている会社や、ユニークなプロダクトを持っている海外の会社があるかもしれません。だから、M&Aという手段を活用しないと上場の意味がないだろうなと思っています。

「世界一を狙う」成長戦略

村上:今はSSP、DSPが主軸だと思います。MAJINも海外戦略もあります。今後の成長を見据えて、本当にフォーカスしていきたい部分はどこでしょうか?

工藤:DSP、SSPの市場はまだまだ伸びると思っていますし、マーケットシェアもまだまだ取れると思っています。それに、メディア側は儲かっていない会社が多いので、広告主にとっても付加価値の高い取り組みをしながら、業界に還元していきたいです。

ただRTBの市場は1000億程度なので、その先を考えてマーケティングオートメーションなどマーケティングの新しい分野に進んでいる感じです。

村上:ソフトバンクさんのようにOEM型でプラットフォームを提供されているケースもありますが、その場合データは共用してやられているんですか?というのも、OEMの狙いがデータにアクセスすることなのか、それとも売上を作るのに手っ取り早いからなのかお聞きしたいと思いまして。

工藤:相手先によって、共有している場合としていない場合があります。

OEMを積極的に展開しているのにはいろいろな理由があります。海外でもOEMをやっているんですが、その場合、提供先の営業組織やグループのメディアを使えることもあり、自社の直販でやっているより伸びが速いと言うのはあります。

村上:他に成長戦略として、例えばIoT分野。この分野でアドテクがどう貢献できるとお考えですか?

工藤:屋外広告がデジタルになってインターネットに繋がったり、タクシーの中で時刻や位置情報に合わせてアドが出せるようになったりしていて、今後もいろいろなデバイスがインターネットにつながって広告がデジタルに置き換わっていくだろうとは思います。なので、ある程度は期待していて、その時にいろいろな会社と連携してやっていくんだろうなという展望はあります。例えば、電車の中に配信するなら鉄道会社と連携が必要ですし、今の日本ではいろいろな企業がそれぞれの分野でシェアを持っているので、そういう企業と組んでいくことが大切だと思います。

村上:最後に「世界一を狙う」ための心構えのようなものがあれば教えていただけますか?

工藤:ちゃんと価値のあるものを作っていって、それが受け入れられるから世界に広がっていく。その積み重ねで世界一に到達したいと思います。

村上:本日はありがとうございました。経営チームとして技術や世界にアンテナを張りつつ、中長期の視点を大事に経営に取り組まれているのがよくわかりました。ジーニーの世界戦略、今後も期待しています。

Signifiant Style

シニフィアンスタイル(Signifiant Style)は、起業家、上場企業経営者、バンカーといったバックグラウンドを持つメンバーによって創業された、シニフィアン株式会社が運営するビジネスメディア。シニフィアンでは、IPO後もなお精力的に事業を成長させ、新たな産業の創出と発展に寄与しようとする意志を持った会社のことを、”Post-IPO Startup”(ポストIPO・スタートアップ)と定義。ポストIPO・スタートアップの活躍こそが、日本におけるスタートアップ・エコシステムのさらなる拡充と、日本経済の発展に不可欠であると考えています。シニフィアンスタイルでは、ポストIPO・スタートアップの事業活動や経営に関する知見の情報発信に取り組んでいきます。本サイトはこちら

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