1917年のロシア革命以降、すべての共産主義体制は「統一戦線」を党勢拡大の目的に利用してきた。国内外を問わず、時にはそれとなく、時には公然と。だが、そのやり方はつねに姑息なものだ。今日における中国の統一戦線も例外ではなく、そのターゲットになっている国の1つが豪州なのだ。
豪州と中国の経済的な結びつきは強い。中国は豪州から資源や農産物を輸入する一方、豪州には実業界から学界に至るまで幅広く資金や人材を輸出してきた。豪州に住む中国人には、圧政や腐敗から逃れてきた者もおり、多くが愛国的な豪州人となっている。
中国に懐柔されるつもりはない
だが、中国の一党独裁体制の手下になっている者も存在する。中国の外交官やビジネスマンがこうした人々を操っているのだ。その工作活動の影響は外交政策の遂行のほか、豪州政府に対する反対票の動員に見て取ることができる。
そこで豪州のターンブル首相が対抗策として打ち出したのが、政党や活動家組織に対して国外からの献金を禁じる法案だ。一部の慈善活動も規制対象となり、海外の利害関係者に雇われた元政治家、ロビイスト、企業幹部が豪州政治にかかわる場合には登録を義務づける。これが明確に意図しているのは、豪州の民主主義に対する外国──とりわけ中国──からの干渉を防ぐことだ。
豪州は中国の友人となる用意があるが、脅かされたり懐柔されたりするつもりはない、というのが同首相のメッセージだ。民主主義国家の団結が、このメッセージを明確にする助けとなるのは間違いない。なのにトランプ氏は豪州を支援するどころか、悪ふざけによってターンブル首相の努力を台なしにしてしまっているのである。
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