38歳独身堅実女性が「赤字地獄」に陥るワケ 優等生ほど人に言えない悩みを抱えている

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実は、そんなE子さんにも、数年前に転機がありました。会社から、東京転勤を打診されたのです。母からは、地元に残って自分たちの生活の面倒を見てほしいと言われていたようですが、「母親から離れるのは今しかない!」と思い東京転勤を決意しました。

「ようやくこれで逃れられる!」と思いきや、冒頭にお伝えしたように、離れて暮らしてからも、月に10万円以上の仕送りに苦しんでいたわけです。

しかも、E子さんは、東京に転勤になってからすぐに同僚の彼ができましたが、度重なる母からのおカネの無心と、頻繁にE子さんに連絡してくる母に彼氏が嫌気をさし、別れてしまったそうです。

E子さん曰(いわ)く、「母のせいで、私の人生は台なしです。でも、母の要求は断れないんです……」。確かにこのままの生活を続けていては、貯蓄ができないどころか、貯蓄も底をついてしまいますし、何よりもE子さん自身の人生がダメになってしまいます。

1人で抱え込まずに、専門家に相談を!

E子さんのように、まじめで優等生であればあるほど、自分ですべてを背負ってしまい、頑張ってしまうのです。実は、私たちの事務所へ相談に来たのも、偶然私と共通の友人がいたからでした。この縁がなかったら、いまだに1人でずっと悩み続けていたそうです。

いくら親子といえども、ここまで複雑な問題になると、専門家に相談したり、第三者に話し合いに入ってもらったりすることなどが必要です。

これはまれなケースかもしれませんが、実はE子さんの相談を聞いて、私と数人の専門家がE子さんとお母様との間に入り、話し合いを進めたところ、こちらが拍子抜けするくらい、スムーズに話し合いができました。

正直、E子さんからの話では、「かなり手ごわい相手」だと思っていたのですが、話し合いを進めていくうえで、母親も「自分の過ち」に気がつき、「必要以上にE子さんに無心しない」と約束してくれました。

実際、その後のフォローでも、E子さんから時々連絡が来るのですが、「母から昔のような無心はなくなり、やっと貯蓄する余裕が生まれました!」とうれしいお知らせをいただきます。

おカネの相談をしていると、時として相談者の深い内面の問題にぶつかることがあります。おカネの問題は、内面の深い問題を抱えているケースが多いので、1人で抱え込まずに、専門家を頼ってみることもぜひ検討してほしいと思います。

高山 一惠 ファイナンシャルプランナー(CFP)

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たかやま かずえ / Kazue Takayama

株式会社Money&You取締役。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め退任。その後、(株)Money&Youの取締役就任。女性のための、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場「FP Cafe」を運営。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評。著書は『やってみたらこんなにおトク!税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)、『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)、『パートナーに左右されない自分軸足マネープラン―ひとりでも生きていける力を身につけよう』(日本法令)など多数。

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