少子化の真因は「日本的な労働慣行」にある 人生100年時代、日本人はどう生きるべきか?

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(撮影:尾形文繁)
高齢化する日本の課題とは何か。英国の知性2人が語り合った。1人は『ライフ・シフト』(東洋経済新報社)で人生100年時代の戦略を描き、日本政府にも助言するリンダ・グラットン英ロンドン・ビジネススクール教授。もう1人は、『「西洋」の終わり』(日本経済新聞出版社)で自由主義社会の危機に警鐘を鳴らす、英『エコノミスト』の元編集長、ビル・エモット氏だ。 

 

――「高齢化」がお2人の著作に共通するテーマです。お2人の発言や著作からは、高齢化について、エモットさんは悲観的、グラットンさんは前向きにとらえているような印象を受けました。

グラットン:性格の違いかしら(笑)。

エモット:私は悲観的ではないと思いますよ(笑)。私が悲観的に見ているのは、われわれの社会が変化に対応していく能力についてだ。高齢化に関しては、もっと楽観的で前向きになるべきだ。高齢化は財政やおカネの問題だけではない。人生が長くなることで、これまでなかったようなチャンスが出てくる。日本は65歳以上の労働参加率が世界で最も高く、これはポジティブにとらえていい。

「3ステージの人生」から「マルチステージの人生」へ

グラットン:100年時代の人生に人々が悲観的になるのは、60歳までは健康でいられたとしても、その先の40年は病気を抱えて生きる、といったイメージを持つから。でも、それは現実とは違う。長寿化した人生で、もっと多くのことをする機会が与えられている。これが、人生100年時代におけるライフシフトのポイントだ。

これまでは、フルタイムで教育を受け、フルタイムで働き、そして退職しフルタイムの年金生活者になるという、3ステージの人生で問題はなかった。でも、それではもう、うまくいかない。特に日本のように高齢化が進んだ国では今後、3ステージの人生が急速に崩れていくのを目の当たりにすることになるだろう。

現時点では、企業も政府も人生100年時代がどういったインパクトを持ってくるのか、本当には理解できていない。今は会社をいったん辞めると、再就職は難しい。でも、古い3つのステージではなく、生涯でより多くのステージを経験することになるマルチステージの人生では、人々は会社をもっと自由に辞めたり、再就職したりすることを望むようになる。企業はもっと柔軟にならなければならない。

しかし、必ずしもすべてを変える必要はない。他国では(短期契約やフリーランスで単発の仕事を請け負う)ギグエコノミーが広がっており、これを称賛する声もあるが、間違っている。「終身雇用を捨てるべきか」との質問を日本の方々からよく受けるが、終身雇用は大きな財産だ。すべてを捨てる必要はない。

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