包容力がない人が包容力のなさを露呈してしまう会話スタイルがあります。それは、私が「会話のデモ行為」と呼んでいるもの。次に挙げるような人とは、「もう、話をするのイヤだな〜」と思いませんか?
・こちらが話を終えてないのに、自分の話を割り込ませる人
・「それは違うだろ」「こうするべきだろ」とすぐに人の話を否定する人
・相手の気持ちや会話の流れより、何が正しいかに固執する人
この3つを合わせ技で繰り出してくる人がいたら、私は「もう話したくないっす」と不退転の決意を固めることでしょう。いわゆる、「話の腰を折る人」「聞く耳を持たない人」たちです。こういう人は、相手の話に反応するとき、「でもねぇー」とか「でもさ!」と「でも」を連発するのです。だから、デモ行為。デモ行為は相手に対する反対の意を示す行為です。そして同時に、包容力のなさをさらけ出してしまう行為です。
だから、気をつけましょう。相手の話を聞いて、「でも」という言葉が頭に浮かんだら、ぐっと堪えてください。まずは、「そうなんだ」と言って相手の話を受け止めてください。そして、なぜそう思うに至ったのか相手の話に耳を澄ませましょう。これが聞き上手になれるか、なれないかの試金石。そして、相手のことを、まずはいったんがっちりと受け止める力、これが大人の包容力なのですから。
この話に「でも……」という言葉が浮かんだら、次の話を読んでください。
ソニー盛田さんのすごい包容力
世界的な大企業、SONYの創業者といえば、空飛ぶセールスマンと言われた今は亡き盛田昭夫さん。その盛田さんは人のハートをがっちりつかむ達人でした。その秘訣は、どんな意見でも笑顔で受け入れる包容力にあります。
盛田さんは、部下の意見を聞くとき、たとえそれが、どんなにひどい内容でも、「おお、それは、いい考えやな」と満面の笑みで大きくうなずくそうです。しかし、後になって逆の指示を出すことがしばしば。それでも、部下は大喜びで指示を実現しようと必死になって働くそうです。なぜなら、盛田さんに意見を受け入れてもらった時点で、絶対の忠誠心を抱くからです。
この忠誠心もさることながら、盛田さんの包容力のすごさに私は感服いたします。盛田さんの包容力とは相手の意見を否定せず、まずはいったん受け入れる、というところにあります。
これはスゴイことです。なぜなら、人間誰しも「それは違うんじゃない」と他人の話に違和感を感じると、すぐさま反論したくなるからです。そこをぐっと堪えて、まずは相手の意見を受け止める。そこから自分の意見をやんわりと表明する。すると、相手もこちらの意見をすーっと受け止める余裕ができているのです。ここはポイントです。
たとえば、営業活動の中で商品を懸命に勧めていて、お客さんから「でも、高いんだよな」とガツンと反論されたとき、「いえ、高くなんかありません。モノが違います!」なんって即答したら、敵味方に分かれての論戦開始です。
しかし、相手の意見をいったん受け止める。たとえば、「そうですね。最初はそう感じる方が多いです」とやれば、カドが立ちません。それから、やんわりと価格と効用の関係性を説明すればいいのです。
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