会話上手な人は話題を「下ごしらえ」している

「また会いたい」と思われる人の秘密

手応えを感じたところで、映画のワンシーンが浮かんで話を続けます。

「この時期は、セントラルパークの落ち葉が最高なんですよねぇ」

目線を下に向けても綺麗なところですよね、という気持ちで話をつなぐと、「そうそう! あと道路も!」と意外なお答えが。「え、道路?」という顔をすると、すぐさまこう続けてくれます。

「ニューヨークの道路ってガラスを砕いたものがアスファルトに混ざっているので、気温が下がれば下がるほど、それが太陽の光を反射して本当にキレイなんですよ!」と知らなかった情報も教えてくれました。

その後も、「ニューヨークでの朝は、コーヒーを飲みに早朝からやっているスタバに行っていた」「窓辺の席に座ってコーヒーを飲みながら道ゆく人を眺めて楽しんでいた」などなど。終始「そうそう! そういえば!」と次から次へとリンクするように話題が続き、終始笑顔で盛り上がりました。

これはインタビューの仕事に限りません。たとえば、子どものつながりで近所の母親同士が集まるとき。それほど親しい間柄でなくても、「子ども」という関心事は共通しています。そこで、「子ども」「地元」というキーワードを手がかりに、最近「へえ」と思った情報や発見を、記憶の中から探したり連想したりして、頭の中に「ふせん」を貼っておくのです。

「電子レンジでニンジンチップスをつくってみたら野菜嫌いな子どもも喜んで食べたよ」「子どもだけじゃなくて、大人ものんびりできる公園があるんだけど、知ってる?」と、相手が関心を持ちそうなトピックを選んで、まずは興味を持ってもらう。そしてその後、必ず「では、あなたは?」と聞いてみる。呼び水としての「話題のストック」、そして「あなたは?」という質問のワンセットで、お互いリラックスできる会話の流れが生まれます。

私はラジオDJという喋る仕事をしていますが、手ぶらでどこにでも行き、パーッと場を盛り上げる……というタイプでは決してありません。だからこそ、連想イメージから浮かんだ「話題のストック」を用意しておくのです。これが「どうしよう、話題が見つからない」という気まずい状況を未然に防いでくれます。それに「困ったらこれがある」と、いつでも投げられる球を用意しておくと、安心できるものです。

用意した球を全部投げなくてもいい

ここでのポイントは、用意した球を全部投げなくてもいい、ということ。相手が「もうバットを振りたくないよー」と言っているのに、「全部投げるまで今日は帰らない!」とばかりに投げ続ける。これではまるで停止ボタンが壊れたピッチングマシーンです。その日に、全部使い切らなくて大丈夫。「あのときに調べた情報が今いきてくるとは!」と、思いがけない場面で救ってくれることが多々あるのです。それまで、じっくり寝かせておきましょう。

相手に気持ちよく喋ってもらいたいわけですから、こちらは基本的には「聞く姿勢」。その話題を提供するのも「おもてなし」のひとつです。どんな話を振ったら喜んでくれるかな、とイメージワードを浮かべながら想像してみましょう。

「明日、あの人に会う。どうしよう」と、モヤモヤ悩んでいるならば、何かしら調べて準備する。現場でオロオロしながら困るのは他ならぬ自分です。ほんの少し意識を変えて、「あなたのためにまずは一品つくれますよ」と下ごしらえをしておく。それだけで、相手との温度も、会話の感度も、確実に上がります。

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