三井不動産の最新高級ホテルは何が違うのか 「セレスティンホテルズ」を立て続けに開業

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ところで、最近の都市部のホテルビジネスの状況を見渡すと、“ホテル戦争”と言っても過言ではない状況になりつつある。宿泊特化型ホテルとフルサービスホテルの中間に位置づけられる、セレスティンと類似する業態のホテルに絞ってみても、リゾートをメインにしてきた星野リゾートが、都市観光ホテル「OMO(オモ)」ブランドを立ち上げたほか、米高級ホテルチェーンのハイアット・ホテルズが、2019年に浦安に「ハイアットプレイス」を日本初上陸させる予定など、各社が相次いで参入表明している。こうした中で、三井不動産グループの強みは、どのような部分にあるのか。

「不動産デベロッパーとして、住宅、オフィス、商業施設など、さまざまな案件を手がけている商品企画力やネットワークが、ホテル専業の会社との違いであり、強みにしていかなければならない部分だ。“ホテルとはこういうもの”という固定観念にとらわれず、マンションでよかったことをホテルにも取り入れようということなどは、われわれの中ではよくある。また、全社ネットワークを生かし、オフィス、商業施設、マンション、ホテルの複合案件を提案したり、街づくりという大きな枠の中で、ホテルの位置づけを考えていくことも可能だ。こうしたことは、不動産デベロッパーにしかできないのではないか」(鴉田氏)

さらに、事業機会を得る“仕込み”の部分にも、不動産デベロッパーならではの強みがあるという。

「われわれに入ってくる案件情報は、ホテル建設を念頭に置いたものに限らない。たとえば、オフィスビル建設を考えている土地所有者との話し合いの中で、ホテルが最適だと思えば、ホテルを提案することなどもあり、新たな事業機会の創出となる。現在、急激な事業拡大に対応できているのは、こういった部分に負うところも大きい」(鴉田氏)

銀座のホテル競争は激化

さらに、銀座に絞ってみれば、ホテル競争の激化は、より鮮明になる。2020年に向け、森トラストが開発を手がけるマリオットの最上級ブランド「東京エディション銀座」などのラグジュアリーブランドから、「スーパーホテル」のような一般的なビジネスホテルまで、現在、把握しているだけでも10軒以上の新規ホテルが2018~2020年に進出し、客室数ベースでみると、現在より5割程度増加するとの試算もある。

こうした中、三井不動産は、すでに、「三井ガーデンホテル銀座プレミア」「ミレニアム 三井ガーデンホテル 東京」「ザ セレスティン銀座」の3施設を銀座で運営しており、さらに2019年秋には、338室の「(仮称)銀座五丁目ホテル計画」を開業する予定だ。確かに、都内のホテル不足が問題となっているものの、2020年東京オリンピック・パラリンピック後を見据えた場合、ホテルの供給過剰にはならないのだろうか。

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