三井不動産の最新高級ホテルは何が違うのか 「セレスティンホテルズ」を立て続けに開業
これには、「もともと、新ブランド立ち上げのとき、芝のセレスティンホテルをリブランドしようと決まっていたわけではなく、コンセプトメイキングする中で、芝もバージョンアップして、新ブランドに加えることが決まった」という経緯もあるようだが、ブランドコンセプトを、より明確にするのであれば、必ずしも芝を新ブランドに加える必要はなかったのではないかとも思える。
レストランを重要視
高級化路線に舵を切るにあたり、課題となるのが、スタッフの育成やノウハウの吸収だと思われるが、この点について鴉田氏は、「当社のホテルは、(ラグジュアリーホテルのような)フルサービスのホテルではないが、新ブランドでは、今まで以上のサービスを提供する。そこで、お客様に心地よく感じていただくためには何が必要なサービスで何が必要ないかを、外部有識者も入れ、時間をかけて選別してきた。また、芝のセレスティンホテルは、もともと、ホスピタリティに定評があったので、ガーデンホテルで積み重ねてきた経験とともに、これを基盤とし、さらに、どういったサービスができるかを考えていきたい」と話す。
セレスティンホテルズでキーとなるのが、レストランだ。セレスティン銀座には、表参道や麻布十番に店を持つ「CASITA(カシータ)」というレストランが入っている。同店はホスピタリティに定評があり、「ホテル屋から見ても感動するようなサービス」(鴉田氏)が提供されているという。
「飲食に関しては、直営店を入れるという選択肢もあるが、その場合、社内ノウハウしかない。異業種の優れたホスピタリティを持つ店に入っていただくことで、われわれにとっても刺激になる。そういう意味では、テナントというよりも、ホテルをつくり上げるうえでのパートナーというべきだ。テナントであれば、自分たちに直接、メリットにならない提案はしてこないが、(CASITAからは)ホテルのお客様をきちんともてなそうという気持ちからの逆提案があり、さまざまな相乗効果が生まれていると思う」(鴉田氏)
また、セレスティンホテルズは、“それぞれの土地ならではの体験を”という「ローカル・エクスペリエンス」をブランドコンセプトの1つとして掲げているが、その意味でもレストランは重要だ。セレスティン祗園には、地元のてんぷらの老舗「八坂圓堂(えんどう)」が入っているが、料理のみならず、「聞かれれば、地元のことならば何でも答えられ、ローカル・エクスペリエンスに関しては抜群」(鴉田氏)だという。各地に事業展開していくビジネスで、信頼できる地元の店舗とパートナーシップを結んでいくことが、成功の1つのカギになることの好例と言えよう。
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