「脱・炭素化」の動きは、もはや世界の常識だ 欧米金融機関や投資家、大企業が相次ぎ表明

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オランダの大手保険INGも石炭関連への投資を大幅に見直す。同社もサミット当日の12月12日付で石炭火力発電プロジェクトへの投融資削減を加速化し、2025年までに投融資残高をゼロにするとの方針を表明。パリ協定を強く支持する姿勢を示した。

石炭関連企業も動き出す

石炭関連企業の間でも、驚くべき動きが起きている。

世界最大規模の石炭採掘企業であるオーストラリアのBHPビリトンは、12月19日付で世界石炭協会から脱退を検討していると明らかにした。同社はその理由として、気候変動およびエネルギー政策に関する考え方の相違を挙げている。さらに、カーボンプライシングに反対であり、パリ協定に批判的な立場を崩さないことを理由に全米商工会議所からの脱退についても検討。それら決定の期限を2018年3月末としている。

オーストラリアでは12月下旬に、インドの大手石炭関連のアダニグループが、地元州政府の低利融資拒否をきっかけに石炭採掘計画の断念に追い込まれた。

こうした中で、オーストラリア第4位のオーストラリア・ナショナル銀行は12月18日付で、今後新たな石炭採掘への融資を取りやめる方針を明らかにした。世界最大の石炭積み出し港である豪ニューカッスル港のロイ・グリーン次期理事長は、「石炭依存からの脱却に向けて事業を多様化していく必要がある」と述べている。

パリ協定から2年を経過する中で、脱炭素化への動きは雪崩を打って加速しつつある。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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