「脱・炭素化」の動きは、もはや世界の常識だ 欧米金融機関や投資家、大企業が相次ぎ表明

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そして、同年12月のパリ協定採択により、すべての国が参加して温室効果ガス削減に取り組む制度構築が合意された。その後、米国が脱退表明をしたものの、日本や中国、インド、欧州などの主要国はパリ協定の枠組み維持で歩調を合わせており、具体的な削減目標策定が始まっている。

雪崩打つ脱炭素化の動き

そうした中で、パリ協定で採択された、「産業革命以降の気温上昇を2℃未満に抑える」うえで鍵を握るのが企業の取り組みだ。

気温上昇を抑えるには、今後排出が可能な温室効果ガスの総量には制約があるという「カーボンバジェット」の考え方が打ち出され、排出削減の有効な方法として、石炭火力発電からの撤退や再生可能エネルギーへのシフトが求められるようになっている。

日本にいてはさほど気がつかないが、世界の大手金融機関や機関投資家、企業は次々と脱炭素化への取り組みを表明している。

ノルウェーの中央銀行は世界最大規模の運用資産を持つ同国の政府年金基金に関して、投資対象から石油・ガス会社株を外すことを2017年11月16日に提案した。今後、石油・ガス開発の投資リスクが大きくなるとの見通しに基づく判断だ。

フランスの大手保険会社アクサは気候変動サミット当日の2017年12月12日付で、石炭関連ビジネスへの投資を大幅に減らすとともに再生可能エネルギーに投資を振り向ける決定をした。

投資削減の対象は売上高の30%以上を石炭関連ビジネスに依存している企業などだ。合わせて石炭やオイルサンド関連事業への保険付与を取りやめるとも表明した。アクサは方針決定に際して、ドイツのNGOウルゲバルトが作成したGlobal Coal Exit Listに基づいて投資撤退の候補企業を選定する。

「(このまま放置した場合に想定される)平均気温が4度も上昇する世界では、保険の提供は不可能になる。世界規模の保険会社や投資家の役割が鍵を握る」(アクサのトーマス・ブベル最高経営責任者〈CEO〉)

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