「ボルサリーノ」の帽子は日本から消えるのか 本国イタリアで破産申請、昭和天皇も愛用

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日本でのボルサリーノの帽子販売への影響について、ボルサリーノ・ジャパンに問い合わせたところ、「直営店は通常通り営業しており、当面は商品供給に問題はありません」と返ってきた。

一方、オーロラにも同様の問い合わせを行ったところ、「確認中であり詳細は現在も分かっておりません」との回答だった。ボルサリーノ・ジャパンの関係者は「(イタリア本国の)工場の製造ラインは現在も動いている。(日本からの)発注済み分の納品は確約されているが、年明け以降欠品が相次ぐ恐れもある」と打ち明ける。

破産が伝えられた日に麻生大臣が来店

麻生太郎財務相もボルサリーノの帽子を愛用している(写真は2013年)(写真:ロイター/アフロ)

オーロラと伊ヒエレス・エクイタとのライセンス契約は2020年末までとなっているが、ボルサリーノが破産手続きを開始した以上、契約の継続は難しいだろう。

また、メンテナンスに関しても不安が残る。「今後もクリーニングなどの対応はできるが、帽子のリボン交換などはどうなるかわからない」(都内百貨店内のボルサリーノ直営店)。破産のニュースを聞きつけ、在庫がなくなる前にと買いに来る客も多いという。「破産のニュースが流れた日には、麻生財務相も来店して今後を心配していた」(ボルサリーノ・ジャパン関係者)。

ボルサリーノ・ジャパンの業容は近年拡大を続けていた。帝国データバンクの調べによると、直近の2017年2月期の売上高は4年前と比べ1.5倍の6.7億円に成長、最終利益も約2400万円を確保していた。

しかし、好調な日本とは対照的にイタリアでの販売は不況も相まって芳しくなく、破産につながったという。

今シーズンは明るめの茶色が人気というボルサリーノ。帽子の色のように、今後明るいニュースが飛び込んでくることはあるだろうか。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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