成功例ゼロ「食品EC」に挑んだ男の非凡な嗅覚

インターネットと食で感じた可能性とは

――有機野菜でないと、だめだったんですか?

自分たちとしては、僕らは食品業界にいなかったので、この食品の仕事を始めてから、初めて知ったのが、作ってる人が、こんなに作ったものを食べないんだってことを知って、作ってる人が、自分では食べたくないようなものを売りたくないと。

やっぱり作ってる人が、自分や自分の家族に食べさせるものだけを売りたいと決めて、そういう意味では、有機野菜から始めようと。有機野菜は作った人が自分で食べているので、そういうとこから始めようと思いました。

「消費者のリアルな声」が生産者を動かした

――生産者の方はまだネットっていう言葉も、世に出回ってない時代だと思うんですけども、どういうふうに説得したんですか?

おっしゃるように、「インターネットって、何チャンネルで映るんだ?」みたいな感じだったんで。

――テレビと勘違いされて(笑)

全然映んないじゃないかとテレビを見ながら言われる感じだったんですよね。非常に説得が難しかったので、しょうがないから、早い時間から農家さんと酒を飲んで、いろいろインターネットの未来とかについて語ってですね、熱く。

でも、それ自体はあんまり伝わらないんですけど、だんだん同情はしてくれて、「何かわかんないけど、お前らかわいそうだな。じゃあ、うちの端っこのほうを、持ってっていいよ」みたいな感じで、ちょっとずつ取引が始まった形です。始めるのは大変だったんですけど。1回始めちゃうと、インターネットはお客さんからすごいメールが来るんですよね。

そうすると、「すごくおいしかった」「隣の人のトマトがおいしい」とか、いろんなメールが来るんで、それを生産者の人にフィードバックすると、そういう声をリアルに聞けるシーンというのが今までほとんどなかったので、大きくモチベーションを持っていただけるという形になりましたね。

――農家の方も大変喜ばれたんじゃないでしょうか?

自分たちが作ったものを食べた人の「リアルな声」ってほとんど聞く機会がないんですよね。それが、他の畑の方がおいしいって言われたりとか、先週の方がいいとか、今週はまあまあだねって言われると、悔しかったり、うれしかったり、いろいろ感情を動かすことにはなったとは思いますね。

――農家から直接品物を仕入れるっていう、流通形態というのは、やはりそれも珍しかったんですかね。

そうですね。結果的にはそうでした。僕らとしては、あまり、そういう今までの流通形態を打破しようみたいなのは強くあったわけではなくて、先ほど申し上げたような、作った人が食べてるものを売りたいと思った時に、やはり作った方それぞれと、直接取引をするのが普通だなと。

常識を知らなかったので、普通だなと思って、一軒一軒農家を訪ね歩いて、今、3000軒くらい農家さんと、取引をしてるんですが、結果的に普通とは違った取引をしていたと。当時は常識がないので、よくわかってなかったです。

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読売新聞主筆として93歳の今も、社論をまとめる要の役割を果たしている渡邉恒雄氏。安倍首相と定期的に会食するなど、なお政治のキーマンでもある。歴代の首相を知る同氏は現在の政治とメディアをどう見ているのか。本誌編集長がインタビュー。