パナソニックが強気、脱「テスラ依存」の勝算 トヨタとの電池協業発表で姿勢が大きく変化
が、トヨタとの提携検討が発表されて以降、発言のトーンが変わってきている。津賀社長は「車載電池を成長させるためには、テスラと手を組みつつ、トヨタとも組むことが重要だ」と話す。円筒型電池はテスラ、角形電池はトヨタと、両輪でまわすことで、1社傾注のリスクを分散させたいという意図がうかがえる。
さらにトヨタの豊田社長は「両社のみならず、幅広く自動車メーカーの電動車の普及に貢献したい」と語っている。スズキ、SUBARU、マツダ、ダイハツ工業など、トヨタと提携関係にある自動車メーカーも含めた“日本連合”への電池供給を、パナソニックが一手に引き受ける可能性もある。
カネのかかる車載電池、トヨタに期待
資金的なメリットも大きい。車載電池事業は、研究開発や工場などへの設備投資、さらに工場立ち上げに伴う生産技術者の派遣など、莫大な投資を必要とする「パナソニックの“金食い虫”」(伊藤副社長)だ。現在は、ギガファクトリーと並行して、ホンダやフォード向けの電池を生産する中国・大連工場の立ち上げも進めている。
パナソニックはすでに2015年2月、2016年7月に社債を発行し、累計約3700億円を車載事業に充当。経営再建により減少していた同社の有利子負債も、4期ぶりに1兆円を超えた。このままいけば、プラズマテレビへの投資を重ねていたかつての水準にも近づく。
現時点で同社の電池工場はフル稼働の状態。生産量を増やすには生産ラインや工場の増設を迫られそうだ。「トヨタさんは資金力がある。われわれもそれに期待している」と、津賀社長は明かす。
かつてのパナソニックは、トヨタのHVへ電池を供給する”下請け”に甘んじていた。ただ、今回の提携について津賀社長は、「われわれはサプライヤーという位置づけだが、できるだけ対等な関係を築いていきたい」と強調する。
パナソニックがここまで強気に出られる背景には、世界中でEV開発の機運が高まる中、安定的に調達できる高性能の電池を車メーカー同士が奪い合う現実がある。加えて、テスラへの供給で培った実績と箔もある。パナソニックは、テスラ、トヨタと対峙する三角関係の中で優位な立場を守り続けられるか。それが、車載電池の覇者となる条件だろう。
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