パナソニックが強気、脱「テスラ依存」の勝算

トヨタとの電池協業発表で姿勢が大きく変化

そして本命中の本命が、世界のEVシフトで中長期的な成長が期待できる車載電池というわけだ。現在の最大顧客は、米国のEVメーカー・テスラ。テスラとパナソニックは、2011年に電池供給のパートナー契約を締結して以降、二人三脚で歩んできた。2017年1月には世界最大の車載電池工場「ギガファクトリー」が、米ネバダ州の砂漠の中で稼働を始めた。

米ネバダ州の砂漠地帯で突如姿を現すのが、テスラとパナソニックが共同で建設した電池工場「ギガファクトリー」だ(写真:テスラ)

ここでパナソニックが作るのは、テスラの新型セダン「モデル3」向けの円筒型リチウムイオン電池「2170」。パナソニックが電池のセルを作り、同じ工場内のテスラのラインでパッケージ化される。工場の建設には約6000億円が投じられ、パナソニックも2000億円を負担。車載事業を率いる伊藤好生・パナソニック副社長はテスラについて、「ある意味では運命共同体だ」と語る。

テスラで生産遅延、電池は供給過剰に

ただ、社内にはテスラへの傾注を不安視する声もある。今年10月、パナソニックが明らかにしたのは、テスラ側で生産遅延が起きているという事実だった。パナソニックが電池を生産しても、テスラ側が担う電池をパッケージ化する自動化ラインが順調に立ち上がらず、手作業で組み立てざるを得ない状況になっているというのだ。結局電池は供給過剰になり、テスラが製品展開する蓄電池に転用しているという。

ギガファクトリー開所式に出席した、テスラのイーロン・マスクCEO(中央)、JB・ストローベルCTO(左)とパナソニックの津賀一宏社長(右)(写真:パナソニック)

2017年9月末までのモデル3の生産台数はわずか260台。当初の目標である週当たり5000台を大きく下回る。テスラ側は12月中旬現在でも「まだ苦戦している」(津賀社長)だ。2018年中に月産50万台の目標を掲げるが、「その半分程度になるのではないか」(みずほ証券の中根康夫アナリスト)との見方もある。

この生産遅延が、どの程度パナソニックの業績に影響を及ぼすのかは不透明だ。さらにテスラの生産遅延は今に始まったことではなく、今後も同様の不具合に見舞われる可能性がないとはいえない。

今回のトラブルについて津賀社長は、「目標に対して実力が追いつかないだけの話。期ズレの問題であって、それ以上のリスクはない」と語る。さらに、「テスラが一番確実なお客であることは間違いない。テスラと成長するのが基本中の基本だ」とも念を押す。

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