「スニーカー狂」がナイキを語ると、こうなる 「そこには文化、哲学、物語、すべてがある」
アクタガワ:僕は個人的に、初期のナイキが日本で作られていたということに思い入れがあるんです。僕がはじめて知ったナイキは、日本製でした。アメリカの靴が日本で作られているって、面白いですよね。ビンテージの靴でも、アメリカ製のものに比べて、日本製は縫製ひとつとっても圧倒的にクオリティが高い。
ナイキのシューズを作っていた福岡の工場を訪ねて、当時を知る人に施設を見せていただいたことがあります。当時その工場が卸していた靴は、1足500円。それに対して、ナイキへの卸値は7ドル50セント(約2700円)だったそうです。「えっ、そんなに高く買ってくれるんですか?」ということになって、とにかくいちばん良い材料を選んで、ひたすらしっかり作ったと聞きました。フィル・ナイトはそんな日本の技術の高さに着目していたんですね。
榎本:『シュードッグ』はアメリカでベストセラーになって、ついに日本でも翻訳版が出版されました。日本とナイキって、こんなに関係が深いんだとよくわかりますし、日本人が読んでエキサイティングな本だなと改めて思います。
ナイキの進化は、僕らの想像を超える
国井:ナイキとアディダスはつねに比べられます。一言で表せば、アディダスは「変化のブランド」。それに対してナイキは「進化のブランド」です。たとえばエアマックスは、1、2、3、4……と進化していく。ギア的な進化こそ、スポーツブランドとしての真骨頂です。エアマックス誕生30周年といったような大掛かりなプロモーションイベントができるなんて、ほかにはありません。
アクタガワ:ほんとそう! そのとおり。
国井:エアマックス360が出たとき、僕たちは「想像しうるスニーカーの終着地点に行き着いたんじゃないか」と思ったけど、ナイキはまだまだ行き着いていなかった。そのあとでヴェイパーマックスが出てきたときは、ケージやアウトソール、そしてミッドソールまでもがなくなっていて本当にびっくりしました。
ワッフルソールにしても、最新作のエアマックスにその意匠が残っていたりする。この進化こそが、ナイキなんです。僕たちの想像を超えた、もっと先を見せてくれる。靴の概念さえ変えるものを、ナイキならつねに出してくれると思います。
アクタガワ:そこだよね。エアだって、少しずつ積み上げて進化していく。そして進化を止めない。すごいものができる秘訣って、そこだと思う。
榎本:最近も、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てきた靴のモデルを現実化させて、自動靴ひも調整機能のついたハイパーアダプトが出て驚きましたが、あれがまた進化するかもしれませんよね。
国井:今は電気を使って靴ひもが締まる仕組みだけど、電気を使わずにそれができるようになるかもしれない。僕らが考えるアップデートとはレベルの違うモノやコトを、ナイキはきっと描いています。
榎本:本日はありがとうございました。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら