物流の巨人「佐川急便」が上場後に描く青写真 提携する日立物流との経営統合は実現するか

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SGホールディングスでは週休3日制など働き方の選択肢を広げ、人材確保に注力している(撮影:尾形文繁)

さらに、もともと強みとしていた企業間物流への回帰に舵を切った。カギを握るのは、2016年3月に資本業務提携した3PL(企業物流の一括請負)の国内首位、日立物流との協業だ。 

同社の沼南物流センター(千葉県柏市)は荷主企業からスポーツ用品などを預かり、店舗や通販用に出荷する。従来、通販用は佐川の営業所に運んで発送していたが、センター内に佐川の荷さばき場を設け、直接発送に切り替えた。2社のドライバーの運行時間を1年間で32%、延べ約1万時間を削減した。

宅配戦力の確保が今後の課題に

SGHDは最短で2019年春の日立物流との経営統合も視野に入れる。「提携から3年をかけ、相乗効果を十分に確認してから次のステップに進む」(町田社長)。

他方、日立物流で経営戦略を担う佐藤清輝執行役常務は「小手先のシナジーの出し方ではダメだ。思い切ったことをやる必要がある」と強調。佐川と日立物流が一緒に入居する一体型物流センターの具体的な検討も始めていると明かす。

むろんSGHDにとって、宅配便への目配りは欠かせない。いまだ営業利益の8割を稼ぐうえ、物流を一括で受託した場合も顧客企業からネット通販の宅配を任される機会が増えていくからだ。業界では宅配便の個数が足元で前年比1割増のペースで拡大し、ドライバー争奪戦が過熱する。同社は週休3日制など働き方の選択肢を広げ、人材確保に動く。宅配戦力を従来通り確保できるかが、今後も大きな課題となりそうだ。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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