「カラオケまねきねこ」コシダカで重大不手際

会計監査人報告書を「白紙撤回」の背景に何が

さらに、決算承認を報告事項で上程するのか、承認事項で上程するのかで議案は変わる。株主総会提出書類の調査は監査等委員会の義務だ。

会社側は、決算承認と議案決定について「条件付き」で、全会一致で決議をしたことは認めているが、監査等委員を含め、各取締役がどういった意見を述べたのかについては明らかにしていない。

加えて、11月7日に発送された招集通知には、仰星監査法人への交代が盛り込まれていた。会社側は「11月6日に適時開示をする予定だったが、辞退されてしまった」ことは認めている。

ただ、印刷、ゲラチェックの時間を考えれば、10月中には決定していておかしくないのに、仰星への交代リリースは出ないまま、11月13日になって「(仰星が)辞退してしまったので交代しない」というリリースが出されている。

仰星への変更をいつ決議したのか、そして会社側は決議後速やかに開示をしたのか、それともしなかったのかも明かにされていない。

会社側は11月30日の開示で、さまざまな不備の発生について、経理に必要な人材を確保できていなかったことや、内部監査人の退職、期末直前での経理担当者の退職などを原因として挙げている。

加えて、「株主総会招集手続きにかかる事務処理ミスについては、財務報告に係る内部統制とは直接関係ないものと認識しているが、内部統制における課題として認識している」とある。

新興企業にとっては他山の石

有価証券報告書と同時に提出する内部統制報告書は、あくまで財務報告に関する内部統制を対象としているので、招集手続きに関する部分が“直接関係ない”のは間違いない。

しかし、総会招集手続きについて、「事務処理ミス」と認識している点は重い。予定稿として決議したのに、予定稿のまま招集通知を発送してしまったことを事務処理ミスと認識していて、「条件付き」で決議したこと自体は問題がないと考えていることになる。

11月24日の定時株主総会では、取締役選任議案の賛成割合は、監査等委員長のみ76%で、残る7人は9割以上。創業一族が発行済みの4割強を保有しているとはいえ、一連の不手際を株主が問題視している形跡は見られない。

業績は絶好調であり、優待狙いの個人投資家からの人気も高いゆえんだろう。

しかし、ガバナンスの脆弱さは思わぬ落とし穴になりかねない。株主総会実務に詳しい弁護士は、「招集手続きに瑕疵(かし)があるとして、株主から株主総会決議取り消し訴訟を起こされてもおかしくないケース」だと指摘する。特殊株主に付け入る隙を与えれば、経営が混乱する可能性もある。

会社の機関に関するガバナンスは会計監査人の領域からも外れるため、外部からの監視も効きにくい。だからこそ社外取締役の機能が重要になる。

小規模かつ新興の上場会社の実態に詳しい弁護士は、「上場会社にふさわしいガバナンスを備えているとは言いがたく、苦笑するしかない」という。

「よくある、とまでは言わないが、新興の小規模な上場会社では、表面化していないだけで、似たような話はそこそこ耳にする。現場はずさんな体制を危険だと感じているが、トップがその危機感を共有しておらず、リスクにも自覚がない。今回のケースはぜひとも“他山の石”としてほしい」(同弁護士)

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