「カラオケまねきねこ」コシダカで重大不手際 会計監査人報告書を「白紙撤回」の背景に何が
さらに、粉飾が発覚して第三者委員会の調査中である場合など、定時総会の招集通知発送までに会計監査人の監査報告書を会社側が受領できないという事態は起こりうる。
企業は定款で基準日を定めており、定時株主総会は必ず開催しなければならないし、決算の報告もしくは承認は、定時株主総会でなすべき事項として会社法に定められている。
実務上は次善の策として、定時株主総会では取締役の選任など、できることだけを決議しておき、決算に関しては後日、臨時株主総会を開催して報告もしくは承認を得る方法がとられている。
浮かび上がる2つの疑問
コシダカは監査等委員会設置会社なので、上記の監査役会の業務は監査等委員会が担う。
会社側は「監査報告の受領を前提とした条件付きで、決算承認と定時株主総会に決算を報告事項として上程することを決議した」ことを認めている。
会社側によれば、「10月25日になって、新日本監査法人から追加の資料提出も含めた追加の手続きが必要であり、当初予定していた監査報告を提出できないことを通告された」という。
11月30日の同社開示によれば、多岐にわたる勘定科目の誤り、関係会社株式評価プロセスの運用不備、カラオケ事業におけるカード未収売掛金の適切な消し込み処理の不備などを監査法人から指摘されていた、とある。
同時に開示した2017年8月期決算短信の一部修正も、損益科目では売上総利益が144億5664万円から142億8497万円へと、1億7166万円減額訂正されたが、販管費も同額減額されており、営業利益には影響がなかった。つまり、原価計上すべき費用が販管費計上されていたということだろう。
数字が大きく動く可能性があるような見解の相違ならば、もっと早い段階で問題になっていたはずで、会社側は細かい確認の次元と考え、確認が済めば当然に無限定適正意見がもらえると考えていたのだろう。
実際、総会開催1週間前に会社は無限定適正意見が付いた監査報告書を入手している。それでもなお、一連の手続きには2つの疑問が浮かび上がる。
1つ目は新日本の動きだ。11月30日の開示にあるような、細かいながら見逃すべきではない不備を、新日本はいつから指摘していたのか。第3四半期まで四半期報告書がつつがなく提出されていることからすると、最近まで新日本は問題視してこなかったことになる。
10月25日になって突然追加資料の提出を求めたのであれば、担当の公認会計士が監査法人内のレビューで指摘を受け、確認を余儀なくされた可能性が浮上する。
同社の定時総会が11月下旬に予定されていること、そのためには遅くとも11月2週目の前半には招集通知を発送しなければならず、招集通知のゲラチェックや印刷の時間を考慮すれば、10月末までには監査報告書を必要としていたことは承知していたはずだ。
この点については、会社側は回答を控えており、真相は明らかにされていない。
最大の疑問は監査等委員がどう行動したのかである。会社側が監査等委員会の監査報告書を受領したのは新日本の監査報告書を受領した日と同日だから、少なくとも監査等委員会は新日本の監査報告書を見ずに監査報告書を作成したわけではない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら