農協専門「みのり監査法人」は何を目指すのか 数年で準大手監査法人に匹敵する可能性も
6月末、ひっそりと旗揚げした、みのり監査法人の動向が、会計士の間で注目を集めている。
総勢22人という小規模な監査法人だが、数年後には国内有数の規模になる可能性を秘めているからだ。
JA改革が生んだ"みのり監査法人"
背景にあるのは全国農業協同組合中央会(JA全中)改革だ。
現在、JAバンクなど信用事業を営む、貯金残高200億円以上の全国約600の農協と、負債200億円以上の連合会には、JA全国監査機構の監査(以下、JA監査)を受けることが義務づけられている。
監査実務を担うのは、全国に約500人いる農協監査士。合格までに1000時間の勉強が必要とされる超難関資格だ。
ただ、JA監査に対して批判は根強い。「監査機構は独立していたが、JA全中内に設立されていた。そのためJA全中が指導と監査を一体的に担い、地域農協に強大な権力を行使している、と語られがちだった」(農協改革に詳しい中央大学大学院の杉浦宣彦教授)。
昨年4月に施行された改正農協法により、監査機構が行うJA監査は2019年9月末で終了。以降、農協には公認会計士による監査が義務づけられる。
みのり監査法人は、農協の公認会計士監査を専門に行う目的で設立された。
理事長に就任した大森一幸氏は、あずさ監査法人で品質管理部門の責任者を務めた経歴を持つ。「無限責任を負っている公認会計士が署名をするという事実は重い。公認会計士・監査審査会のレビューも受ける。この点が従来(のJA監査)との決定的な違い」と大森理事長は説明する。
パートナー18人中、JA出身は2人で、残りは大手4大監査法人出身。大森理事長を除く15人は監査機構への出向などにより農協監査に従事した経験がある。
今後2年間は監査機構の支援をしながら、内部統制の実態を把握するなど準備を進める。2019年のJA監査終了に合わせて、公認会計士としての監査業務を開始する予定だ。
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