「エルサレムが首都」でトランプは孤立した 米政権内の反対も自己保身で押し切ったか

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トランプ大統領が早期の沈静化を期待している根拠がないわけではない。中東世界にも建前と本音がある。パレスチナ自治政府はイスラエルに全面的に依存しており、軍事・警察など治安分野で協力している。

ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスは、イスラエルに強硬な姿勢を貫いているものの、数年に1度行われるイスラエルによる激しい空爆をハマスの抵抗運動のせいと感じる住民が増え、支持が失われつつある。視野を広げると、エジプトとイスラエルは1978年のキャンプ・デービッド合意以降、しっかり協調している。その枠組みにヨルダンもいる。イスラエルは「アラブの盟主」サウジアラビアとも接近している。

「クシュナー上級顧問を含めトランプ政権内部では、エルサレム首都宣言で、一時的にパレスチナ、アラブ諸国との関係が悪化しても、その後に関係改善は可能だと見ている。12月下旬に予定されているペンス副大統領のイスラエル、パレスチナ、エジプト訪問が、アラブ側の反応を計る最初のケースになると米国側は考えているようだ」(中東調査会『中東かわら版』12月8日号)。

安倍外交も無縁ではいられない

ただし、今回のトランプ大統領の声明が国際社会に大きな衝撃を与えたことは、紛れもない事実だ。

容易に収まらないとみるのが、大多数の観測である。東南アジアにあるイスラム教国の予想外に激しい反発は、これから世界で起きることを示唆している。「マレーシアのナジブ首相も『エルサレムを首都とする提案を永久に拒否する。世界のすべてのイスラム教徒に声を上げるよう呼び掛ける』と述べ、イスラム教徒が連帯して反対するよう促した」(時事通信、12月7日)。

日本も無関係ではいられない。トランプ声明は安倍晋三政権の外交政策にも修正を迫ることが予想される。米政権が世界から本当に孤立する事態となれば、トランプ政権に依存する外交政策に信頼が寄せられなくなるからである。

トランプ大統領によるエルサレム首都認定は、思いのほか、世界中で尾を引きそうだ。

内田 通夫 フリージャーナリスト

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うちだ みちお / Michio Uchida

早稲田大学商学部卒。東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』の記者、編集者を歴任。

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