Jリーグに「赤字クラブ」が多い本当の理由 サッカーの特性や「Jリーグ規約」が足かせに
まず、費用面から見てみよう。費用の中で最も大きい「人件費」は、選手の年俸を下げればチームの弱体化に直結するため本末転倒となる。また、スタッフの人件費はすでに高い水準とはいえず、こちらの削減も容易ではないだろう。
その次に目が行くのは、販管費を除いて次に大きい「試合関連経費」だ。ホームゲームの開催にかかる費用はここに計上される。スタジアムに関しては、Jリーグ規約で細かく定められており、費用は大きくなりがちだ。
スタジアムはJ3でも5000席以上、芝生席はNG
そもそも、Jリーグに参入するには、アマチュアの全国リーグであるJFLからJ3へ昇格する必要がある。J3のクラブとしてライセンスを受けるには、シーズン中の成績のほか、さまざまな基準をクリアする必要がある。
中でも、スタジアム関連の規約はハードルが高く、ホームスタジアムを確保していること、そのスタジアムが5000席以上有すること(芝生席は観客席とみなされない)、ピッチが天然芝であることなどが定められている。さらにカテゴリーが上がるとなれば、J2で座席数1万席以上・J1で1万5000席以上が求められ、厳しさは増していく。
ホームスタジアムはクラブが所有するか、ホームゲーム数の80%以上が開催可能な第三者保有のスタジアムを確保する必要がある。どちらにせよ大きなコストとなるため、費用回収には少しでも施設効率を上げたいところだ。しかし、ピッチの天然芝を保全するためには、野球のグラウンドのように連日の使用は望ましくない。また、サッカー自体が選手のスタミナを要する競技のため、連日の試合も不向きだ。
さらに、JリーグのみならずJFL、その下の地域リーグ、都道府県リーグのサッカークラブそれぞれが上のカテゴリーを目指し切磋琢磨しているため、参入障壁の高い野球と比べ、競争環境は激しいものとなっている。
費用削減のハードルが高い以上、収入増を目指すことになる。入場者数は増加傾向にあるので入場料収入は伸びているクラブが多い。ただ、収入の約半分を占める広告料収入に、サッカー特有の低収益要因が存在するのだ。
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