そりゃ、おカネをもらっているのですから、最初から無理ということは明らかで、われわれ企業買収の専門家は監査法人の出してきた数字は、われわれは信じておらず、独自にデューデリジェンス(企業価値評価)を行います。そんなものを信じたら、こっちが倒産しちゃいます。専門家が信じない数字を見せられて株を買っている投資家は最もみじめな存在、と言えると思います。
東芝のようなケースはアメリカでも起こりうるのですが、粉飾を意図的に見逃した会計士には厳罰が待っています。それこそ懲役50年なんて判例もあり、それでやっと中立が守られる。悲しいですがこれが現実です。
アメリカなら、東芝の経営者は「懲役100年」
仮に東芝の事件がアメリカで起きていたら、経営者も即刻逮捕ですね。あのスケールの会社の粉飾だと懲役100年とか出てもおかしくない。株主を裏切ったことになるわけですからその罪は重いのです。しかし日本では東芝の経営者はいまだにのうのうと暮らしていますよね。だったら、ちょっとインチキするか……というのは人情というもので、これが日本資本主義の最大の弱点なのです。
ですからワタクシは基本的に日本株には投資をせず、すべてがクリアーになりうるアメリカ株に投資をすることをお勧めするわけです。
少し角度を変えてみると、なぜこんなくだらないルーティンが日本企業では延々と続いていくのか? それは簡単で、それは終身雇用だから。あなたがおかしいと思っていても、直属の上司も部長も課長もみーんなやってきたことなので、いわば全員同罪であり、それをあなたがおかしいというと、いわゆる「ブラックシープ」にされてしまい、社内であいつは変だ、と言われ、あらゆる出世から遠ざかるのはもちろん、「変人」扱いされる運命にあるからです。
性格の悪い人になると、家族の顔を思い出してみろ、そんなこと言えないだろう……などと懐柔してくるのですから、これはもう組織ぐるみ。政治も大企業も相撲協会も、みんなルーツはまったく同じと言っていいでしょう。これを告発する社員はそれこそ、そこで踏み絵を踏まされているようなもんです。
そして転職したとしても性質の悪い職場だと、新たな転職先に「あいつは会社のカネを着服したから辞めたんだ」「会社の女にセクハラしたから辞めたんだ」などと吹き込むのはお手のもの。もともとお互い脛に傷持つ者同士なので、互いの人事部もツーカーだったりします。
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