FRBの自信喪失、変心にご用心

金利上昇の影響はおそらく限定的

米国の住宅市場では、持ち家世帯が減少傾向を辿る中で、賃貸世帯だけが増加を続けている。雇用の回復を背景に独立した世帯を構える人々が増える中、一般の人々が住宅ローンを借り入れるにはまだまだ条件が厳しく、新たに生まれる住宅需要はマクロ的にみればすべて賃貸市場へと向かっている。

一方、住宅は売れている。資金力や信用力のある投資家が購入し、賃貸に転用しているのであり、個人投資家のみならず、PEファンドやヘッジファンドなどの機関投資家も住宅の買い手に含まれるようだ。こうした投資家が実需を伴わない期待だけで住宅を購入しているのであれば、金利上昇の影響はダイレクトに投資家を襲い、住宅市場はFOMCの懸念通り、腰折れするだろう。

しかし、雇用回復を背景にした賃貸需要という実需がある限り、住宅の供給が滞れば、賃料は上昇せざるを得ない。しかも米国では住宅の空き家率が低下傾向にあり、需給は逼迫気味だ。金利上昇の影響は賃料の上昇によって相殺される、という期待が形成されていくことで住宅市場は回復基調に戻ると考えられるのである。

筆者の仮説が正しければ、今後明らかになる住宅関連指標は少なくとも大きく下ぶれすることはない。FOMCは自信を取り戻していくだろう。

FOMCの雇用判断はポジティブ

FOMC後の記者会見でバーナンキ議長は雇用情勢の評価にも触れているが、悲観一色ではない。バーナンキ議長が「失業率は満足すべき水準からは程遠い」と言っているのは確かだが、むしろ議長の主張は「昨年来の失業率の改善は、全てとは言わずともその多くが、労働参加率の低下ではなく雇用創出によって起きた」(バーナンキ議長)というポジティブなものだ。

筆者の分析によれば、2011年以降、米国の労働参加率の低下は、バーナンキ議長も説明していたように、高齢化等の景気変動の影響とは無関係の要因によって低下してきた。つまりこうした影響を除くと労働参加率は安定しているのである。

ここで「その分だけ失業率は上昇してしまう」と考えるのは早計だ。人口構成の変化は、労働参加率だけではなく就業率にも影響を与えている。就業率は高齢化の影響を取り除くと2011年以降、上昇している様子が確認できる。

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