IS後も「人権侵害」が横行するイラクの実態 IS構成員だったというだけで処刑対象に

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ISによる犯罪の被害者たちは、虐待について証言し、犯罪行為を行った者が法廷で裁かれるのをみて満足なのかもしれないが、これらの裁判にはかかわっていない。犠牲者と司法制度の間には大きな断絶が残ったままである。イラク裁判所がテロ対策法下で少なくとも7282人のIS容疑者を起訴し、92人を処刑したことをわれわれは知っている。

方針が劇的に変わらないかぎり、数千には届かないにしても、さらに何百の処刑が執行され、何十年にわたり、その数十倍もの数の人が裁判所や刑務所にあふれ返ることになる。

処罰とは違う方法で罪を償わせるべきだ

政治的な意図とは別として、イラクにとって現実的な選択肢の中で、この危険な状況を変えることはできる。イラクは、深刻な犯罪や暴力行為をしなかった何千人ものIS容疑者に対して、起訴に代わる策を見つけることができるし、見つけるべきなのだ。

イラクは現実を受け入れなくてはならない。それぞれがISに参加した理由は複雑だが、イラク人の多くはスンニ派孤立の長い歴史が原因だと考えているのだ。

こうした人々のイラクに対する裏切りへの次善策(間違いなく不完全ではあるが)は、ISがどのような犯罪を行ったかきちんと記録できるようにするのと同時に、容疑者が自らやったことを正直に語れる仕組みを作り、彼らとその家族が最終的に所属するコミュニティに奉仕するという形で罪を償わせることである。

これには先例もある。紛争が行われた他国の政府も、訴追に変わるような選択肢を、将来のために選んだ。イラク社会の壊滅的な状況を踏まえると、これは国を再び統合し、再建する最高のチャンスになるかもしれない。

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