楽天の「がん光免疫療法」は何がスゴイのか 三木谷氏が考える「医療イノベーション」
山田:いよいよ、実用化が射程に入ってきたわけですね。2年前にこのお話を伺ったときには、まだマウスの実験の段階でしたよね。お父様のがんを治すために世界中の治療方法を探し回った結果、たどりついたのが、意外にも神戸ご出身の方の研究だったのですよね。
三木谷:小林さんは神戸出身、灘高でした。
山田:2011年にすでに基本的な方法は確立していたわけですよね。三木谷さんの役割は、それを加速させた、ということでしょうか。
日本人発のテクノロジー
三木谷:加速させましたね、大幅に。僕らがやらなかったら、この技術はどこにも出なかった可能性もあります。
山田:どれだけ早くこれが承認されるかによって、助かる命の数も変わってくるわけですよね。そういう意味では、少しでも加速させることは大事ですね。日本人としての関心は、これが日本でも承認されるのか、ということです。
三木谷:それについては何も言えません。ただ、日本政府にとってはメリットが大きいと思いますよ。医療費負担が大幅に下がる可能性があるわけですから。
アスピリアンには、できるだけお買い求めやすい価格設定にしたいというビジョンもあります。こんなすばらしい技術をうまく日本発のものにしたいですが、日本人発であってもいい。日本人発のテクノロジーで、世界でたくさんの方が助かるということができたら、美しいなと、そういうふうに思ってるんですよね。
山田:こうした事業についておカネの話をするのははばかられますが、市場規模としては相当に大きいものがありますよね。
三木谷:はい。今は最初の段階なので、かなりがんが進んでしまった患者の方に適用する形で考えていますが、それ以降は初期のがんに対しての適用も考えていきます。そうなれば、市場規模としては極めて大きなものになることは言うまでもありません。ただ、ごめんなさい。進めば進むほど、なかなか具体的なことを言えなくなっています。ヘタに話すことによって承認が遅れてしまうことを恐れているので、そこはよろしくお願いします。
山田:確認ですが、副作用はまったくゼロなんですか。
三木谷:理論上、重篤な副作用が生じる理由はきわめて小さいと考えられます。しかし、効きすぎることによる問題はあります。たとえば、がん細胞が動脈に絡んでる場合、あるいは腸などの臓器を貫いてしまってる場合には、がん細胞がふたをしているため、これを死滅させることで激しい出血をしてしまう。これには、きちんと対応をしなければ、大きな問題になります。
山田:それは、副作用ではないですね。きちんとした外科的な療法を開発すればいいだけですから。
三木谷:とはいえ、これはなかなか難しいケースもあると思うんですよ。なので、慎重に表現をしています。副作用がゼロということではないんだ、と。
山田:これも確認ですが、特許などによって、ほかの事業者の参入を抑えることができているわけですよね。
三木谷:われわれが商用化に向けてちゃんとやってるかぎり、われわれが独占的な権利を持っています。
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