クックパッド、料理動画「今さら感」の打開策 "お家騒動"から2年、業績と株価の低迷が続く

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1分前後のごく短い時間で、おいしそうな料理がみるみる出来上がっていく――。そんな料理動画は、ここ2年ほどで急速に盛り上がった。米国から始まったブームを追い風に、日本でも2015年後半から「デリッシュキッチン(エブリーが運営)」「クラシル(デリーが運営)」など、次々にサービスが立ち上がり、ユーザー数を急速に伸ばしている。専門家による動画制作や小売りチェーンでの展開も進めてきた。レシピサイトの先駆けであるクックパッドも、こと動画分野においては背中を追う立場だ。

ベンチャーに後れを取った要因は何か。クックパッドの岩田林平CEOは、「われわれの掲げる、料理の作り手を増やすという目標に対し、料理動画という手法が本当に寄与するかを見極めるのに時間をかけた」と説明する。

”本当に役に立つ”料理動画を考え抜いた

料理動画撮影スタジオの開設は、ユーザーのニーズを考え抜いた結果だ(写真:クックパッド)

「料理動画がエンタメとして魅力的だとは理解していたが、それだけでは一過性のブームに終わる可能性がある。では、料理を作るという行動につなげる、料理を作る人の役に立つ動画サービスはどんなものか。それを突き詰め、出てきたのが今回の2つだ。端末やスタジオという“ハード”の運営は初めてのチャレンジなので、準備にも時間をかけた」(岩田CEO)

特に動画スタジオのサービスは、見極めが難しかった。毎日料理を作るユーザーは、材料や調味料の制約、子どもの好き嫌いなどを考える。これまでのように運営側だけで動画を作っていては、ニーズを満たせるだけのレシピ数には到底届かない。やはりユーザーからの投稿に頼りたいものの、自宅で撮影・編集するのは機材やスペースの関係上、ハードルが高い。

そんな中で、クックパッドが撮影・編集の場を用意する形に行き着いた。ユーザー自身がスタジオに出向かなければならない点は手間が大きいように思われるが、料理動画事業部の今田敦士部長は、「オープンに先駆けて行ったトライアルでは、完成度高く出来上がる作品に皆さんが満足している。クックパッドの創業期と同じように、熱狂的に使うユーザーさんからの口コミで、速いスピードで伸ばしていけるはず」と自信を見せる。

新興ベンチャーに負けない経営のスピード感を出すため、組織体制も工夫した。料理動画関連の事業部は「1つの会社を運営するような形にした」(今田部長)という。大きな投資決定は経営陣と話し合うが、それ以外の施策の実施などはすべて事業部長レベルが決裁。採用や広報も専属のチームで独立して行う。クックパッドとしては初の試みだ。

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