OPEC総会後、原油価格がさらに上がる理由 大半の人は現物と先物の関係を間違っている
というのも、原油相場はむしろ秋口から冬場にかけて本格的に上昇するケースが少なくないからである。まして、今回はOPEC加盟国とロシアなどの非加盟国による協調減産という「歴史的合意」の順守がある。
マーケットは、減産合意を過小評価していた
そのため、減産効果がこれから表れてこようかというときに、原油需給が緩んで価格が下がるという見通しにはなりえないと考えていた。これもすでに解説したとおりだ。市場の大半が見誤ったのは、この減産効果を過小評価していたことである。それが、価格低迷の見通しにつながったわけである。
減産効果は、数値を計算すれば、そのインパクトがいかに大きいかは容易に理解できたはずである。もう一度、簡単に需給をおさらいしよう。
まず、日量170万バレルの減産の実施は今年から始まったものだ。加えて世界の石油需要は今年1年で日量170万バレル増加すると見られていた。これらのことから、昨年比で日量340万バレルもの需給が改善する。
一方、米国のシェールオイルの増産によって、米国の産油量は年間ベースでは日量60万バレル程度増加する。それ以外のOPEC非加盟国の一部も増産することから、全体では最大で日量100万バレル程度の増産であろう。
これらを総合すると、日量では約240万バレルの需給が改善され、今年1年間では8億バレル以上の原油在庫が消失することになるのだ。実際にはそれほど単純な話ではないものの、経済協力開発機構(OECD)加盟国の石油在庫全体が30億バレル、現在の米国の原油在庫が4億5000万バレルであることを考えると、相応のインパクトがあることは明白であろう。
国際エネルギー機関(IEA)は、「欧州と米国の需要が予想以上に伸びる一方、OPEC加盟国・非加盟国の生産が減少した結果、世界の石油在庫は縮小し始めている」と指摘している。
そのうえで、「OECD加盟国の需要の伸びは、引き続き想定を上回っている。中でも、欧州と米国で需要拡大が顕著である」と指摘している。IEAによると、先進国の旺盛な需要を背景に、世界の石油需要は第2四半期に日量170万バレルどころか、230万バレルも増加した。一方で、供給サイドは、世界の石油生産量が8月に日量72万バレル減少し、4カ月ぶりのマイナスを記録している。このような、需給ファンダメンタルズの目に見える形での改善傾向が、原油価格を本来あるべき方向にようやく押し上げ始めただけのことだ。
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