OPEC総会後、原油価格がさらに上がる理由 大半の人は現物と先物の関係を間違っている
原油価格が高値で推移している。11月23日には、ニューヨークのマーカンタイル取引所で扱われるWTI原油先物が時間外取引で2年ぶりの高値となる1バレル=58.58ドルをつけたが、その後も新値を狙う勢いだ。
原油価格の「地合い」は変わった
市場では、カナダのパイプライン運営会社トランスカナダが「キーストーン」パイプラインでの原油漏れを受けて、原油の供給を停止したことが原油価格の押し上げにつながったとの指摘がある。
もちろん、これも価格上昇の要因だろう。しかし、重要なポイントはこのような目先の材料ではなく、これまでの上昇の背景にある。原油価格はいまになって急に上げているわけではない。9月に入ってから明らかに地合いが変わっているのである。その背景が、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国による協調減産であることは言うまでもないだろう。
筆者はこれまで、「WTI原油はようやく60ドルが視野に入ってきたが、まだ安い」と言いつづけてきた。筆者がWTI原油の上昇の可能性が高いことを指摘していたのは、40ドル台半ばから後半の水準で低迷していたときである。
当時は、市場関係者や石油専門家の中でも「30ドル台に落ち込む」「10ドル台まで急落する」という声が多かった。多くの読者もご記憶のことだろう。
しかし、原油価格は多くの市場関係者の見通しとは裏腹に、上下動しながらも高値を更新してきた。中には、米国の夏のドライブシーズンがピークになる独立記念日(7月4日)以降は需要がピークを超えるため、原油価格は下落するとの指摘も多く聞かれた。
当時、筆者はこれらの見方に対して理解に苦しんだ。それはなぜか。
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