原油価格は1バレル75ドルまで上昇の可能性 今起きているのは水準訂正にすぎない
原油価格がジワジワと上昇している。
前回の本欄「原油価格が『1バレル60ドル台』まで戻る理由」では、「WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は自律反発を経て、最低でも1バレル=60ドル前後に戻すのが常識的な動きであると考えている」とした。当時は50ドル前後で推移し、上値の重い中、上昇に向けた材料に乏しいとの見方が大勢を占めており、このような見方は市場において、皆無といってよい状況だった。
60ドル台視野でも本来の水準に戻りつつあるだけ
しかし、WTI原油価格はこの1カ月で徐々に下値を切り上げ、節目の55ドルを超え、筆者の予想どおり、60ドルが視野に入ってきている。多くの市場関係者がこの動きに驚いていることだろう。しかし、筆者からすれば、あるべき水準への訂正が起きているだけであり、ごく自然の動きであると考えている。それでもなお「65ドルから75ドル」という、筆者が考える「あるべき水準」にはまだ遠いのだが、これも現在の需給のファンダメタルズ(基礎的な条件)を、市場が徐々に織り込む形で、いずれは到達可能と考える。
原油価格は生産・供給と消費・需要のバランスで決まるのだが、価格決定権を持っているのは生産者である。これはコモディティの特徴である。世界第1位と2位の生産者であるサウジアラビアとロシアが、価格を引き上げるために減産を続けると言っているのだから、原油価格が上昇するのは必然ともいえる。
サウジを代表とするOPEC(石油輸出国機構)と、ロシアを代表とするOPEC非加盟国は、昨年11月に日量170万バレルの協調減産で合意し、現在はこれを来年3月まで延長している。しかし、原油価格の引き上げを図るため、減産期限はさらに延長される見通しだ。
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