「サザエさん」に苛立つ男性たちの深層心理 「男男格差」に引き裂かれる

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都内に勤務する編集者の男性(36)は、「フラリーマン」をするゆとりすらない。帰宅すると、2人の息子が歓声をあげて迎える。自分の役目は、彼らを引き取って一緒に遊び、妻を休ませること。寄ってくる長男の後ろに、今日もなんとか食事を終えさせたらしい妻(37)のいらだった顔が見える。

スーパーマンになれない

2人を風呂に入れて寝かしつけ、翌朝には子どもたちに朝食を取らせ、保育園に送っていく。毎日が過重労働だ。飲み会もほとんど行かなくなり、職場と家庭と保育園を往復する日々。それでも手が足りず、大学の研究職で現在は非常勤の妻が若干多めに家事と育児をこなしている。

「職場は残業もほとんどなくホワイトなのに、時間がまったく余らない。妻のサポートがあってこの状態です。こんな生活がいつまで続くのか。妻のキャリアを考えれば応援したいが、妻が常勤になったら本当に生活は立ち行くのか。仕事と家庭の両立なんて、土台無理だったのでは」(男性)

夫婦ともに疲弊している。男性には若干後ろめたさもある。

「妻は子どもが生まれてから、万事に完璧を目指すようになったと思います。意欲的にあれこれこなす妻に対して、正直自分は子育てがそこまで楽しいとは思えないんです」(同)

悩みは夫婦共通だ。自身はイベントやセミナー、妻は研究や論文執筆に充てる時間がほぼなくなった。SNSで同僚や友人が楽しげに発信しているのを見ると、「このままでいいのか」と不安にさいなまれる。

「仕事において、ぼくらはどんどん取り残されていくのでは。編集者なのに、『君の名は。』すら見られていない。ひとりで外出するとは、妻に借りを作るということ。そのカードは緊急事態のためにとっておきたい」

社会構造ゆえのジレンマか、あるいは、家事も仕事も理想通りバリバリこなす、スーパーマンになれない自分が悪いのか。答えは見えない。

(編集部・作田裕史、熊澤志保、市岡ひかり)

※AERA 2017年12月4日号

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