「サザエさん」に苛立つ男性たちの深層心理 「男男格差」に引き裂かれる
「家庭と仕事の両立は、きれいごとじゃかなわない。男性側も、つらい、生きづらいと言わないと、何も進まない。いつから人生はこんなにクソゲー化したのか。『イクメン』を自身のブランディングに使う男性には、嫌悪感しかわきません」(常見さん)
男性間にも断絶が広がっている
仕事と家庭に引き裂かれ、家事と子育てという終わらないタスクに追われ、ジレンマを抱える。仕事と家庭と真剣に向き合う男性ほど苦しみ、男性間にも断絶が広がっている。いうなれば、「男男格差」だ。その図式は、かつてワーママたちが歩んだ道にも似ている。
恋バナ収集ユニット、桃山商事の清田隆之さん(37)と森田雄飛さん(37)は、一部の男性のありかたが、仕事と家庭の両立を選んだ男性の怒りを買っていると語る。
「家事に参画している『つもり』の男性が、依然として多い。表面だけ『イクメン』『イクボス』を気取る人や、妻によってお膳立てされたハードルの低いタスクをこなすだけの夫は、問題の本質を見失わせる害悪でしかない」
大した家事を負担していない男性ほど、大げさに騒ぐ。
同じ会社に勤める共働きの夫婦なのに、家事や子育てのほとんどを妻が担当している。妻が出張で家を空ければ、「今晩は妻がいないから大変だ、子どもの世話をしないといけない」と被害者アピールを欠かさない。
「食事をつくるのではなく子どもをファミレスに連れていくだけなのに、大ごとだと騒いで、妻の過剰な働きの上に成り立っている現在の生活スタイルに何ら疑念を抱かない。『ゴミ捨てをしている』と自慢しても、そのゴミは実は妻がまとめたものだったりする。同じ男性として、正直疑問です」(桃山商事)
夫が家事や育児を分担することは当然という意識が染みついているからこそ、実の伴わない過剰な「イクメン」「イクボス」アピールを、あさましいと感じる。
そう、自分たちは当然のことをやっているだけ。なのに、疲労と焦燥がたまっていく。