法律を形骸化するトランプ氏の危険なやり口 消費者金融保護局トップ交代が意味すること

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米証券取引委員会(SEC)は、前任者のメアリー・ジョー・ホワイト氏よりも従業員を丁寧に扱うことが期待されているウォールストリートの弁護士、ジェイ・クレイトン氏によって率いられている。2月に、トランプ大統領傘下の労働省は、財務顧問が顧客の信託に基づいて利益を追求することを義務づける規制を廃止した。

一連の動きは、民主党のジレンマを表している。いかなる法律を廃止することもなく、共和党は公益規制をひどく損なう可能性があるからだ。両党、特に共和党は近年、過去の政治的規範に反して、自らの意思を実行するための法的手段を使い始めている。

あまりにも無力な民主党

上院の承認が必要であるCFPBの正規責任者を任命するかわりに、トランプ大統領は上院議員の証人を必要とせずにCFPBを「解体」するための代理人を任命したわけである。共和党によって任命されたトップが就くことになるCFPBは、企業の不正行為を無視し、強力なルールを取り消すように行動する可能性が高そうだ。

この問題は行政の一部分に限定されるものではない。スコット・プルイット環境保護長官は、主要な環境規制をなくすために忙しく動いている。米投票権法は、市民権活動家が投票抑制の諸悪の根源とみなしているジェフ・セッションズ司法長官の前では無力だ。

これは、一般の人々の利益を「規制」しようとする問題的行為であるにもかかわらず、米国の主要政党である民主党はこれをとめることもできない。

民主党は、単に規制当局を設置する法律を通過させるだけでは国民を守ることはできない。ふがいない民主党のせいで、トランプ大統領は法律が廃止しなくても、法律を「骨抜き」にすることはできる。大統領選は、新たな法案ばかりに関心が集まるが、既存の法律が新政権でどのように扱われるかにももっと焦点が当たるべきだろう。

著者のスコット・ルミュー氏は米ワシントン大学の政治学部非常勤講師。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。
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