あのサイゼリヤ、新業態「500円パスタ」の正体 「テイクアウトできるスパゲッティ」の魅力
業態開発部長の千代川聖氏は「オープン前からズラッと行列ができて、『キターッ』という感じでした」と当時の思いを表現している。客数は旧マリアーノスパゲッティの2倍となり、「新業態がやっと土俵に乗った」(千代川氏)感があった。これまでとの違いはどこにあったのだろうか。
「あるデータによると、女性がランチで外食を利用するのは週に1回で、後は手作り弁当やコンビニを利用している。つまり、昼に女性が入れる店は高いから、週の大半は外食できないのが現状です。そこで、ワンコインで、男っぽくなく、スタイリッシュに食べられるランチの店をつくりたいと考えていました。ただし飲食店では、『ターゲットは女性』とはっきり打ち出しているところは、実は少ないんです。スパゲッティマリアーノでは、思い切って女性路線に舵を切ったところがよかったのかなと思います」(千代川氏)
千代川氏がまず腐心したのは、店の雰囲気、見た目だという。白と木目を基調に、明るく清潔感のあるインテリアとした。実際に見ても、女性も躊躇なく入ることができ、ランチのひと時をくつろいで過ごすことができそうだ。
専門店と同じフレッシュさが売り
メニューではサイゼリヤの素材、ノウハウを用いながら、よりスピーディに出せるようなオペレーションを検討。具体的には、ゆでたスパゲッティとソースを炒め合わせる方式で調理する。ソースをスパゲッティの上にかけるより、素早く提供でき、しかも味や香りが引き立つのだという。
さらに、より“できたてのフレッシュ感”を演出できるよう工夫を加えた。たとえば、香りのある具材、調味料を用いたり、生のハーブをトッピングするといったことだ。
「テイクアウトできるスパゲッティはこれまでになかったので、差別化のポイントとなります。その意味ではコンビニがライバルとなりますが、コンビニのスパゲッティは電子レンジで加熱する前提なので、青いものが使えない。うちでは専門店と同じフレッシュさを売りにしていきます」(千代川氏)
また、第2の訴求点がヘルシー志向だ。ただ現在では、健康やダイエットのためにロカボ食が奨励されているから、炭水化物がメインであるスパゲッティは少々旗色が悪い。
「そのため、炭水化物ガッツリではなく、野菜や肉、魚介などの具材をしっかり取れるようにしています。毎日食べることにより、体が軽い、調子がいいと思っていただけるようなヘルシーな食事を目指しています」(千代川氏)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら