「非恋愛体質」の男性が電撃婚に至ったワケ 恋愛より仕事や友人を優先する生活が一変

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不器用なだけでなく、由佳さんはマイペースでもあった。交際したらすぐに結婚するものだと確信していたらしく、正志さんをすぐに親に紹介した。婚約者として、である。

正志さんに由佳さんとの写真を見せてもらった。由佳さんは紛れもない美人である。しかし、正志さんによれば男性とは違って女性の医師はまったくモテない。ステータスも年収も高い女性医師に対して、男性が勝手に委縮してしまうからだ。

正志さんが勤務している病院では、結婚している女性医師のうち半数は20代半ばまでに結婚しているという。相手は学生時代からの恋人や先輩の男性医師などだ。キャリアを積んで職場での重みが増すにつれて、周囲の男性から敬遠されるようになるのだろう。30代の由佳さんには焦りもあったはずだ。そして、正志さんを見つけた。

「付き合って2カ月もしないうちに婚約するなんて思っていませんでした。自由に泳ぎ回っていた僕が、狭い箱の中にギュッと入れられた気分です。でも、逃げたいとはなぜか思いませんでした」

自分の思いどおりにならないことが楽しい

女性とのコミュニケーションに習熟している正志さんは、恋愛関係においてつねに自分の意見が通ってきたと感じている。しかし、由佳さんが相手ではそうはいかない。

「妻はとても芯が強くて、やりたくないことは絶対にやりません。たとえば、白米ご飯は炊きません。料理を妻にやってもらうかぎり、僕は玄米しか口にすることができないのです。自分の思いどおりにならないことがこんなにも楽しいなんて知りませんでした」

ここだけ切り取ると精神的なマゾヒストのような誤解を生んでしまう。補足すると、「不健康そうな女性だけは苦手」という正志さんは、玄米食にこだわる健康志向の由佳さんに基本的には賛同し、彼女を尊敬しているのだと思う。ただし、医師という職業を「上」に見ているわけではない。

「周囲からは『逆玉だね』なんて言われることもあります。でも、僕は医者に引け目を感じたことはありません。資格の違い、役割の違いにすぎないと感じているからです。若い世代の医師は同じ感覚を持っていて、職場で威張っている人なんていませんよ。でも、社会保障費が削減される傾向にある中、夫婦ともに医療業界にいるのはちょっと危ないなとは思っています」

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