ファナックが工作機械活況をモノにした理由 フル生産に沸く業界各社、リスクは部品不足
しかし、工作機械業界に死角がないわけではない。それは、部品の調達難に伴う納期の長期化だ。
工作機械で使う主要部品の1つに、製造工程での精密な「位置決め」に欠かせないリニアガイド(直動案内機器)がある。ベアリングを使う製品だ。主なメーカーは世界シェア5割を超えるTHKと日本トムソンで、製造する企業は限られる。
重要部品の調達難が大きなリスクに
そのうえ、この部品は生産が急増する半導体製造装置にも数多く使われているため、世界的な品薄状態が続いている。部品メーカー関係者によれば「納期が来年の夏という条件でもリニアガイドの注文が入る」という。工作機械メーカー各社は、部品の確保と納期対応に追われているのが現状だ。「何とか納品遅れを発生させていない」というが、部品の調達難は大きなリスクとして横たわる。
とはいえ、今後の見通しは決して悪くない。中国向けや半導体製造装置向けも、当初は年内くらいまでで失速するのではないかとみられていたが、「毎年6月がピークで、冬に向かって需要が落ちて、春節後に息を吹き返すのがパターンだったが、今年はそのパターンが当てはまらない。日本のメーカーを含めて繁忙な状況」(稲葉会長)というように、勢いが止まる気配はないという。
「機械を作る機械」である工作機械の受注動向は、企業の設備投資の状況を見る、先行指標といわれる。業界の好調さは、本格的な好景気の波が訪れることを予言しているともいえるだろう。
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