ファナックが工作機械活況をモノにした理由

フル生産に沸く業界各社、リスクは部品不足

工作機械の業界団体、日本工作機械工業会(日工会)は、毎月、会員企業の受注総額を発表している。9月の受注総額は1490億円で、2015年3月の1474億円を超えて、統計開始以来の過去最高を更新した。

好調な要因はいくつかあるが、筆頭に挙げられるのが半導体製造装置やスマホなどの電子機器関連向けの受注だ。今年の年明け頃から受注が拡大。とりわけ、中国向けで高水準の受注状況が続く。これに加えて、自動車や一般機械も拡大傾向だ。

また、これまでは「iPhone」の新機種の開発時期に、EMS(電子機器の受託生産サービス)メーカーが工作機械を大量に購入する「スマホ特需」によって、受注高が大きく押し上げられてきた。今年はスマホ特需の影響が小さい中での活況だ。

「悪い要因が見られない。国内も好調に推移しており、手ごたえを感じている」(日工会・石丸雍二専務理事)

生産現場もフル操業というメーカーがほとんどで、「うれしい悲鳴」という状況になっている。

年間受注総額が過去最高を更新する勢い

日工会は年初に、今年の受注総額を昨年比8%増の1兆3500億円と見込んでいたが、受注が好調なことから、9月に1兆5500億円(昨年比24%増)に引き上げた。11月13日に発表された10月の受注高(速報値)も1406億円という高水準となった。今のような状況が続けば、年間受注高は過去最高だった2007年の1兆5900億円を超える可能性も十分にある。

当然、ファナックをはじめ、DMG森精機やオークマ、牧野フライス製作所など大手工作機械メーカーの業績は好調。2017年4~9月期決算の発表では、各社がいずれも2018年3月期の通期業績の上方修正を行った。

ファナックは、11月1日に、栃木県との土地売買契約と併せて、レーザー工場の竣工披露式も開催。福田知事らが工場を視察した(撮影:尾形文繁)

ファナックは、2018年3月期の売上高見通しを、期初予想の6114億円から6930億円(前期比29.1%増)と大幅に引き上げた。ロボットも大きく伸びているが、CNCやサーボモーターで構成されるFA(工場自動化)事業でも、売上高は第1四半期の489億円から、第2四半期に564億円と拡大。自社で作る小型切削加工機などの工作機械も、前年比で大きく拡大している。

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