ファナック、リンゴだけじゃない再成長の芽

試される「脱・アップル銘柄」への長期戦略

切削加工機やFA装置が不振にあえぐ中、ロボット事業が唯一気を吐いている(撮影:梅谷秀司)

「政府が2月にロボット新戦略を打ち出したこともあり、業界は非常に盛り上がっている」。11月2日に都内のホテルで開かれた「2015国際ロボット展」のプレス発表会の冒頭、ファナックの稲葉善治社長は紅潮した顔でそう語った。

国際ロボット展は、安川電機や不二越、川崎重工業など正会員31社(賛助法人92社)で構成する日本ロボット工業会などが主催する展示会。今年は12月2~5日に東京ビッグサイトで開かれる。ファナックはロボット工業会の主要メンバーの1社で、稲葉社長は今回の展示会の運営委員長を務めている。

冒頭のコメントが、そうした立場ゆえの社交辞令かといえば、必ずしもそうではない。現在ファナックで最も伸びているのがこのロボット分野であり、産業そのものの盛り上がりを肌で感じているのが稲葉社長本人かもしれないからだ。

iPhone向けで受注が急減か

ファナックショック――。今年7月、同社が発表した2015年度決算の大幅下方修正は、株式市場に大きな影響を与えた。このとき、本業の儲けを示す営業利益の予想値を、従来の2646億円(前期比11.2%減)から2182億円(同26.7%減)に見直した。下方修正の理由は「一部IT産業の短期的な需要」の受注急落だった。

会社側は「守秘義務がある」として特需の中身を公にはしないが、米アップルのiPhoneをはじめとしたスマホの部品を製造する、アジアのEMS(電子機器の受託生産サービス)向けであることは周知の事実となっている。

スマホの金属筐体は、高級品を中心に切削加工(削り出し)が主流となっている。その加工に使われているのが、ファナック製のロボドリル(小型切削加工機)だ。

2014年ごろから2015年の初めまで旺盛な受注があったが、6月ごろからその受注が急減。ロボドリルを含むロボマシン(加工機)事業の部門売上高も大幅に落ち込み、2015年1~3月期の919億円から、4~6月期が799億円、7~9月期は398億円と右肩下がりの状況が続いてきた。

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