トランプの強硬姿勢がもたらした意外な成果

ぶちこわされる前に日本含む11カ国が結束?

これは安保法制の際にも議論された法的な問題なのだが、トランプ大統領はこの質問を受けて、「日本はもっとアメリカ製の兵器を買うべきだ!」との持論をとうとうと述べ始めた。「そうすれば、日本も上空で撃ち落とすことができるだろう」「F35戦闘機でもミサイルでも、アメリカは世界最高の軍事装備を保持している」「アメリカでより多くの雇用が生まれ、日本はより安全になるだろう!」

「ああ、やっぱりこの人はコントロール不能な人なんだなあ」と見る者に思い出させてくれたので、思わずテレビの前で「NYT、グッジョブ!」と叫んでしまった。

「防衛装備品で貿易摩擦解消」が現実的でない理由

とはいえ、「日本に防衛装備品を買わせて貿易摩擦を解消」というのは、まったく現実的ではない。日本の防衛関係費は2017年度予算5.1兆円で、よく知られている通りGDP比1%未満だ。うち44%を人件、糧食費が占めている。物件費は例年2兆円台後半だが、輸入比率は多い年で2割、例年だと1割前後に過ぎない。考えてみればわが国の防衛装備品は、護衛艦いずもからヒトマル式戦車、偵察衛星まで国産が多いのである。

ちなみに本年度のFMS予算(Foreign Military Sales:アメリカ政府が同盟国及び有効諸国に対し、装備品を有償で提供する枠組み)は3596億円。今後、F35戦闘機やイージスアショアを導入すると少し増えるかもしれないが、それらは中期防衛計画に沿って数年がかりで調達することになる。もし、トランプ訪日効果で上積みされるとしても、せいぜい年間数百億円といったところだろう。他方、日本の対米輸出は2016年度実績で輸出が14.1兆円、輸入が7.5兆円、差し引き日本側が6.6兆円の黒字となっている。衆寡敵せずというヤツだ。もちろんそんなことを、わざわざ大統領にご注進する必要はないけれども。

次の韓国でのトランプ大統領の国会演説は、全体35分間のうち24分間を北朝鮮非難に費やした。お陰で注目の「米韓FTA見直し」に触れなかったので、これまた韓国側が胸をなでおろした。

ただし安心するのは早過ぎる。トランプ大統領が意識しているのは来年の中間選挙だ。それまでの残り時間は1年を切った。減税など、議会で法案成立が必要な課題はあいかわらず難航している。そこで通商政策で眼に見える成果を挙げておきたい。中でも最重要課題はNAFTA見直し交渉だが、カナダとメキシコを牽制する狙いもあって、トランプ大統領は9月上旬に「米韓FTAを撤廃だ!」とぶち上げた。現時点ではブラフであっても、NAFTA見直しで満足な成果が得られなかった場合、話が蒸し返される恐れは十分にあるだろう。

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