トランプ-安倍会談に見た蜜月の微妙なズレ

対北朝鮮、アメリカは抑制的に転じた

あとで同時通訳されている日本のテレビの映像を見ると、おそらく通訳も予期していなかったのか、日本語訳には少しタイムラグもあり、訳された日本語自体もわかりにくく、同時通訳を通じて見ていた人たちは何が起こったのかよくわからなかったのではないかと思う。

失礼さにすぐに気づいたのは、ホワイトハウス詰めの米記者たちだった。

ある米主要メディアの記者は会見後、私に、「米国経済のほうが上だなんてあの場で言うのは、(トランプ氏は安倍首相に)意地悪で、いじめ(mean and bullying)のようだった。あんなことを言うような理由はまったくないのに」として、トランプ氏の言動に怒っていた。

日本時間の11月6日、米国ではテキサス州で26人が死亡する銃乱射事件が起こっていた。銃乱射事件が大きく報道されるなかで、トランプ氏の日本訪問や会見についての報道は米国では限定的だった。しかし、やはり、会見でのこの1コマは米記者たちには印象的に映ったようだった。米CNNが6日夜、東京にいる同行記者と中継をつないでリポートを流したときは、やはり日米の共同記者会見については、この部分を放映していた。

さらに6日深夜、ワシントン・ポスト(電子版)はこの部分に焦点をあてた記事を配信した。「日本のリーダーのシンゾー・アベは、トランプの忠実なサイドキック(助手)の役割を演じている(Japanese leader Shinzo Abe plays the role of Trump’s loyal sidekick)」

Sidekickという言葉は、英語-日本語では「相棒」とも訳されるが、ウェブ上のメリアム・ウェブスターの英英辞書では、「a person closely associated with another as a subordinate or partner」と書かれており、「もう1人の人物と、従属者またはパートナーとして密接に連携する人のこと」という説明だ。対等な相棒というよりは、やや従属気味の助手という語感がある。

実際、ワシントン・ポストの記事は、トランプ氏が「アドリブ」で安倍首相に語りかけたと説明し、「いいかい(OK?)、という様子は、親が子どもに語りかけるようだった」と描写。そして「安倍首相は、耳につけた同時通訳を聞きながら、ほほえみ、静かなままだった。しかし、彼の顔には、不安がのぞいていた」とも記していた。

ゴルフや会食など、トランプ氏と安倍首相の間の「蜜月」が目立っていた一連の訪日日程のなかで、米記者たちの間では、トランプ氏の素の部分が出ていたこの場面が強い印象を残したようだった。

北朝鮮問題でも、微妙なずれ

そもそも、最大の焦点だった北朝鮮問題でも、両首脳の間には、微妙なずれが見え隠れしていた。

11月6日の日米首脳の共同記者会見では、安倍首相は「北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていくことで完全に一致した」と強調し、トランプ氏も「米国は、日本の人々と団結し、北朝鮮の脅威に立ち向かっていく」と語った。

ただ、トランプ氏は11月6日の会見での質疑応答のなかで、意外な言葉も口にした。「北朝鮮の人々は、すばらしい人たちだ」「すべてがうまくいくことを望んでいる」と述べたのだ。

トランプ氏は8月に、北朝鮮に対して、「炎と怒り」で対抗すると語り、核兵器の使用を連想させるような強硬姿勢をみせていた。さらに、9月の国連総会では、金正恩氏を「ロケットマン」と呼び、「完全に破壊する」とも威嚇していた。

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