シリコンバレーで働くサラダロボットの実力 そのうちオフィスに進出も?

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プライベートでは料理が大好きだという彼だが、調理の手間を減らす方法を見つけたいと考えたのだという。

「材料を刻むとかかき回すといった悲しいくらいの反復作業に時間の90%を取られていた」とセカルは言う。アイロボットのロボット掃除機ルンバが従来の掃除機をかける作業を肩代わりしてくれるように、調理の単純作業を自動化したいというのが当初の考えだったが、ほどなく彼はレストランやオフィス向けの料理サービスロボットの開発に軸足を移した。

最初に奪われるのはユーザーの昼休み

セカルはサリーをコーヒーマシンのようにオフィスの給湯室に設置すれば、小規模事業者のコスト削減にも貢献しうると言う。

わざわざ社外に出て行かなくとも、同じビル内のサラダ製造ロボットのところまで2〜3分歩くだけでランチが食べられるということは、休憩時間が短くて済み、生産性向上につながることを意味する。サリーは「最も小さく最も手軽に設置できる社員食堂」だとセカルは言う。すでにオフィスやカフェでのテスト運用も始まっている。

この秋、チャウボティクスは10台のロボットの出荷を始める予定だ(価格は1台3万ドル)。セカルは自分のロボットがコンビニや空港、ホテルや病院、大学で健康的な料理を提供する日に思いをはせている。

「背後のシリコンバレーの勢いが見て取れるはずだ」とセカルは言う。これまでにチャウボティクスは630万ドルの資金を集めた。

サラダのレシピを担当したのは同社の主任シェフで、パロアルトでレストラン「カラフィア・カフェ&マーケット・ア・ゴーゴー」を経営するチャーリー・エアーズだ。エアーズはグーグルのシェフ長や、バンド「グレイトフル・デッド」のメンバーたちの専属シェフを務めた経験もある。「機械から出てくる料理の味だが、私はすごい情熱をかけて作り上げている」とエアーズは言う。たとえばオフィス向けのサリーには南アジアの食材を使ったサラダを提供できるようメニューを工夫したという。

もっともエアーズは、ほかのシェフからは批判を浴びていると語った。「仕事仲間の多く(の反応)は『われわれにいったい何をするつもりだ? 機械の味方になるのか?』という感じだ」

これに対しエアーズは、自分は雇用の創出を手伝っているのだと答えている。なぜなら調理ロボットはつねに人の手によって材料の補給やメンテナンスを受け、清掃される必要があるからだ。

「(ロボット向けの)物流会社や清掃会社、サービス会社にロボット修理会社ができるだろう」とエアーズは言う。「サリーと人間とのかかわり合いはなくならない」

サラダロボットがうまくいったら、セカルはほかの料理にも手を広げるつもりだ。そうなれば人間の従業員は職場をなくす可能性があることを彼も認める。

「ほかの種類の食べ物もやってみるつもりだ」と彼は言う。「将来何が起きて、雇用にどんな影響が出るのかはわからない」

(執筆:Claire Martin記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2017 New York Times News Service

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