都市農家を待ち受ける固定資産税激増の未来 地主系お金持ちも3代続けばむしり取られる
しかし、生産緑地に指定されると農地としての評価になるため、固定資産税は10アール当たり数千円レベルで済みます。
また、固定資産税のベースとなる評価額は3年に1度見直され、地価が上昇すれば評価額も上がります。しかし、生産緑地については、評価額の見直しによる税額の上昇幅についても低く抑えられています。
とはいえ、農地の相続税の納税猶予制度には厳しい要件があります。特に、3大都市圏の特定市にある「生産緑地」の場合、相続人が一生農業を続けなければなりません。途中で農業をやめると、それまで猶予されていた相続税に加え、猶予されていた期間に応じた利子税の支払いが発生します。
都市の農地が一斉にアパートやマンションへ
生産緑地は基本的に、都市部の農地を守ることを目的としています。そのため、勝手に建物を建てたり、農地以外に転用したりできない一方、固定資産税や相続税が軽減されています。しかし、生産緑地の指定から30年が経過した、などの要件を満たした場合、所有者は市区町村に対し生産緑地の買い取りを申し出ることができます。
多くの場合、生産緑地としての制限が解除された後、都市計画の変更手続きが行われ、自由に宅地化できる農地(「宅地化農地」)として、建物を建てたり、宅地として売却したりすることになります。
2022年以降、多くの生産緑地の指定が期限切れを迎え、都市農家が一斉に地元の自治体に買い取りの申し出を行い、多くが宅地として不動産市場で売り出されたり、新築アパートなどが建てられたりするのではないかと危惧されています。これが「生産緑地の2022年問題」です。
それでは今後、生産緑地の指定から30年を迎える農地を所有する都市農家のみなさんは、どうしたらよいでしょうか。
基本的に、相続税の納税猶予制度を利用しているかどうかで判断は大きく分かれると思います。
相続税の納税猶予制度を「利用していない」のであれば、生産緑地の買い取り申し出を行うというのが有力な選択肢です。
買い取りの申し出をすれば、生産緑地の指定がはずれ、農業を続ける義務はありません。いまはまだ元気で農業を続けられるとしても、いずれ健康を害するようなことがあれば難しくなるでしょう。また、後継者がいなければ、やはり農地として維持することは無理です。いつまでも現状維持を続けるより、指定から30年を1つの区切りにするほうがいいと思います。
固定資産税の負担は跳ね上がりますが、それは周辺の宅地と同じレベルです。むしろ、アパートや賃貸マンションを建てたり、あるいは宅地として売却したりするなど、いろいろな手を打つことができます。
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