マネーフォワードが上場後に狙っていること 話題の新興企業トップにロングインタビュー

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小林:御社のクラウド会計ソフト、MFクラウド会計についてですが、「成長可能性に関する説明資料」の27ページにシェアについての言及がありますよね。会計ソフトは利用する企業の規模感によって用いるものが異なり、細分化されている印象があるのですが、MFクラウド会計の場合はどのような規模感の企業をターゲットとしているんですか?

会計市場はクラウド化へ向かう

:市場はエンドユーザー市場と会計事務所様などの会計業界市場の2つに分かれています。エンドユーザー市場では、個人事業主や中小企業が対象です。会計事務所様に提供するサービスについては、従来型の会計ソフトからクラウドへの移行が少しずつ進んでいるという印象です。

小林:この説明資料を見ると、会計事務所の市場では半分以上のシェアがあるんですね。

:会計事務様にプロダクトはもちろんのこと、営業メンバーやカスタマーサポートも含めて評価いただいているというのがわれわれの強みです。会計事務所様経由で中小企業向けに導入されているセグメントを見ると、半分以上のシェアが取れています。ただ、クラウド会計のマーケット自体が会計ソフト市場全体の9%くらいなので、まだまだこれからの市場なんです。

小林:クラウド自体がこれから従来型の会計ソフトのマーケットを代替していかないといけないということですか?

:そうですね。1年以内に設立された企業では、50%以上でクラウド会計ソフトが導入されています。政府も5年間でクラウド化率を4倍にすると言っているので、マーケットは伸びると思うんです。その伸びるマーケットの中でシェアを取り続けることが重要だと思っています。

小林:シェアや売り上げが伸びていく中で、顧客の広がりと同時に解約率も上がるということはないんですか?

:解約率については詳しくは言えませんが、SaaS(Software as a Service)で一般的に目安とされている解約率よりは、はるかによい状態です。また、サービスがよくなっていることもあり、解約率自体もさらに改善する方向にあります。

小林:解約率を低下させるために重要な要素は何でしょうか?

:まずは会計サービスとして求められる当たり前の機能が当たり前に動くということですね。提供しているのが中小企業の経理部門や会計事務所様といったプロの方々なので、プロの使用に耐えうるちゃんとした作りにしなければいけないということが大前提としてあります。僕らが会計事務所様に支持していただいているのは、こうした当たり前のことを徹底しているからなんですね。

会計事務所様やバックオフィスの経理の方って、なかなか採用できないじゃないですか。経理に詳しい方が辞めてしまったときに代わりの人がいないといったことが起こる。そうしたときに、われわれのサービスのように、仕訳ルールをシステム側が覚えて判断してくれると助かる、というのは大きな魅力だと思います。そういった点が評価されて、導入いただいているお客様が増えていますし、解約率も改善しているんだと思います。

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