マネーフォワードが上場後に狙っていること 話題の新興企業トップにロングインタビュー
安倍晋三政権の成長戦略において戦略分野と位置付けられているフィンテック。大手金融機関や先行するインターネット関連企業など、成長分野だけに競争も激しい市場ですが、その中で新進気鋭のスタートアップとして存在感を放っているのが株式会社マネーフォワードです。成長著しい同分野で、同社がどのように市場を切り開こうとしているのか、辻庸介社長にお伺いしました。
株式会社マネーフォワードは2012年5月の設立以来、個人向けの自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」、自動貯金サービス「しらたま」、ビジネス向けのクラウドサービス「MFクラウドシリーズ」などを提供しているフィンテック企業。2017年6月にはMF KESSAI株式会社(グループ会社)を設立し、企業間後払い決済「MF KESSAI」を提供開始。2017年9月に東京証券取引所マザーズ市場に上場。
普通の人のおカネの課題を解決するサービスを作る
小林賢治(シニフィアン株式会社共同代表。以下、小林):辻さんはソニーやマネックスにいらっしゃった頃からずっと“おカネ”と“テクノロジー”にかかわってこられたと思いますが、そこから起業しようと思うに至ったのにはどういった経緯があったのでしょうか?
辻庸介(以下、辻):ソニーからマネックス証券に出向したのは2004年の1月なんですが、その頃から金融サービスはもっとユーザー視点を持つべきだという問題意識を持っていました。出向から転籍に切り替えたのも、マネックスグループの今の会長の松本大さんが「金融市場の民主化」というビジョンを掲げていたからです。実際にネット証券の登場によって、手数料が10分の1になるなど多くの人々が投資活動に参加しやすいようにはなりました。
ただ、投資までたどりつくことは一般の方からするとかなりハードルが高いので、口座数は数百万のレベルで、一般の人のおカネの課題を解決するサービスにはなりえていませんでした。いくら貯蓄から投資へといっても、投資までのハードルが高いので、その前の段階のサービス、1億数千万という人たちに向けた金融サービスがまだ十分にそろっていないと感じていたんです。
小林:ということは、最初のテーマは資産運用だったんですか?