iPhoneビジネス、転換の2つの理由 米国スマホ市場の成熟とアップルのトリック

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処理能力は、初代の50倍に

2つ目は、スマートフォンそのものの成熟だ。

アップルは、最新のA7チップを搭載したiPhone 5sが、iPhone 5(おそらくiPhone 5cも同等)よりも、処理能力・グラフィックス性能ともに2倍になったと発表した。iPhone 5sが、初代iPhoneに対して処理能力40倍、グラフィックス性能56倍になったが、A6チップを搭載したiPhone 5とiPhone 5cも初代iPhoneから処理能力20倍、グラフィックス性能28倍になったことを意味する。

実際、筆者がiPhone 5を利用している限り、たとえiOS 7にアップグレードしても、パフォーマンスが大幅に足りないというわけではない。ハードウエアとソフトウエア、アプリの最適化によって、十分動作するし、薄型で軽量ボディの割にバッテリー持続時間も延びている。

もともとアップルはスペックに現れない体験を重視してきたが、スペックも、十分に発展した、というレベルに達しつつある。iPhone 5sではカメラ性能にこだわり、iPhone 5cではカラフルさや個性をアピールしている。これは、スマートフォンそのものの成熟を意味しているのではないだろうか。

マイクロソフトに買収されたノキアは、ウィンドウズフォンを搭載するスマートフォンLumiaで、最上位モデルには4100万画素のカメラを搭載しフラッシュにもこだわっている。シリーズ全体では、ビビッドなボディカラーを展開し、自分らしい色を選べるようにしている。これは面白いことに、アップルがiPhone 5sとiPhone 5cでやっていることと共通しており、スマートフォン市場の成熟の傾向かもしれない。

日本も世界で最もモバイルが発達している成熟市場だ。国内でiPhoneに押されっぱなしのデバイスメーカーは、国内ではなく、世界にこうしたアイディアを問うても良い時期ではないだろうか。

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