iPhoneビジネス、転換の2つの理由 米国スマホ市場の成熟とアップルのトリック
もちろん、ライバルの動きも無視できない。ソニーはスマートウォッチの第二世代モデルを登場させており、サムスンもGALAXY Gearを登場させ、ウエアラブルデバイスの分野にアップルよりも先に参入している。
しかしこの点も、今までのアップルを見ると、既定路線だと分かる。スマートフォンにしてもタブレットにしても、他社に先に製品を出させておいて、後出しで自社製品を発表し、その素晴らしさをより強調するのが、ジョブズ時代からの勝ち方だった。
もしもジョブズがいれば、きっと今頃、ソニーやサムスンの腕時計型デバイスをみて、酷評していたに違いない。
打倒サムスンの対抗策
これまで年間1モデルを丁寧に販売してきたアップルは、前年リリースのデバイスを翌年の廉価版として販売する方法をやめ、1年に上位モデルと下位モデルの2機種をリリースする方式に変更した。
背景は2つあると見ている。
1つ目はライバルへの対抗策だ。
アップルのライバルであるサムスンは、GALAXYシリーズで、アンドロイドスマートフォンのハイエンドからエントリーモデルまでの全方位戦略をとり、スマートフォンのシェアの多くを獲得した。これまでは、ビジネスユーザーからの支持が厚かったブラックベリーからシェアを奪う構図だったが、最近ではアップルのシェアをも奪い始め、2012年第2四半期に16.6%だったアップルのシェアは2013年第2四半期には13.2%に低下した。アップルがiPhone出荷台数を2600万台から3120万台に増やしているにもかかわらず、である。
アップルは戦略を変え、上位モデルでこれまでの系譜を引き継ぐiPhone 5sに加えて、廉価版となるiPhone 5cを投入した。リーチしにくかった新興国や先進国でハイエンドを求めないユーザーに対する訴求に効果的と言えそうだ。具体的なターゲットは、新興市場は中国であり、先進国は日本のスマートフォンをまだ使っていないドコモユーザーになるだろう。
DIGITIMESがディスプレイ需要から予測したiPhone製造・出荷数は、2013年第4四半期にiPhone 5sが2000万台、iPhone 5cが3000万台となっている。
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