北と軍事衝突、前CIA長官が示した懸念の重み 「20~25%の確率」日本に火の粉及ぶ最悪説も
ドナルド・トランプ米大統領が11月5日から日本などアジア5カ国を歴訪する。北朝鮮への対処が最大の課題だが、10月に入ってからは北朝鮮からの挑発行為はやや小康状態だっただけに、6回目の核実験がおこなわれた9月時点と比べ、日本国内の危機感はそれほど高くないように思える。
しかし、米国内の焦燥感はそれとは異なる。米中央情報局(CIA)の前長官が公の場で、北朝鮮との軍事衝突の可能性について、「20~25%」と受け止められる数字を示したことが衝撃を持って受け止められている。軍事衝突があれば、日本と韓国それぞれで100万人規模の犠牲が出かねないという想定が米国で出ているなかで、極めて大きい数字だ。その深い意味と、今回のトランプ氏のアジア歴訪の重要性を考えたい。
日本国内が衆院選の終盤にさしかかっていた10月18日夜。今年1月までオバマ政権のCIA長官を務めていたジョン・ブレナン氏は、母校であるフォーダム大学(ニューヨーク)にいた。質疑応答で、米国と北朝鮮の間の軍事衝突の可能性を問われ、こう語りだした。
「朝鮮半島における軍事衝突の可能性はこの数十年で最も高まっている(I think the prospects of military conflict in the Korean peninsula are greater than they have been in several decades)」
「私は、その可能性が高いとか、多分そうなるだろうというふうには思っていないが、もし、それが(軍事衝突が起こる確率が)4回のうちの1回、とか、5回のうちの1回ということだとすれば、それは高すぎる確率だ(I don't think it's likely or probable, but if it's a 1-in-4 or 1-in-5 chance, that's too high)」
米国メディアがブレナン氏の発言を報道
「4回のうち1回」は確率とすると25%、「5回のうち1回」は20%を意味する。ブレナン氏の言葉に驚いた聴衆から、「4回のうちの1回、5回のうちの1回というのは、いまあなたが考えている確率なのか」と再質問されたブレナン氏は「ええ、そうだと思う」と返答した。
軍事衝突の可能性について、『前CIA長官が、20~25%の確率だと指摘した』と米メディアは驚きを持って伝えた
ブレナン氏は、オバマ政権で2013年から2017年1月までCIA長官を務めた人物だ。トランプ政権との確執が深いオバマ政権の元高官が、トランプ政権を政治的な意図をもって批判したものだ、と考える向きもあるかもしれないが、私はそうは思わない。米国において、CIAなど機密情報を扱うインテリジェンス・コミュニティは、その時々に応じて、トランプ氏やブッシュ氏のような共和党政権にも、オバマ氏やクリントン氏のような民主党政権にも仕える、継続性のある専門家集団だからだ。
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