北と軍事衝突、前CIA長官が示した懸念の重み 「20~25%の確率」日本に火の粉及ぶ最悪説も

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ブレナン氏はあえて、「20~25%」という高い確率に言及することで、事態が緊迫していることを米世論に訴えかけ、同時にトランプ大統領の側近たちに、大統領が軍事オプションに傾くのを阻止するように求めたかったのだろう。

万一、軍事衝突が起こった場合に、日本や韓国にはどの程度の被害が出るのだろうか。10月初めに、米ジョンズ・ホプキンス大の米韓研究所が運営するサイト「38ノース」は戦慄するような被害想定を出している。

軍事衝突が起こった際、東京とソウルに被害は及ぶ?

「38ノース」は、米国が軍事攻撃を実行した場合には、北朝鮮の報復を招く重大なリスクがある、と指摘。その際には、韓国と日本に対して核兵器が使用されるおそれがあるとして、ソウルと東京に投下された場合にどの程度の死傷者が出るのか、被害想定を出している。

北朝鮮は現時点で、「爆発規模15キロ~25キロトン(TNT火薬換算)の核弾頭を、20~25個保持している」と分析。それらが使用された場合、韓国や日本のミサイル防衛システムが機能して核ミサイルをある程度打ち落とす可能性も考慮し、「実際の爆発が20%程度に抑えられる場合」、「50%程度になる場合」、そして多くは打ち落とせずに「80%になる場合」に分けて、試算している。

「15キロ~25キロトン」の場合は、ソウルでは死者が「最小約22万人~最大約116万人」、負傷者が「約79万~約423万人」、東京では死者が「約20万~約95万人」、負傷者が「約72万~約345万人」に上ると試算されるという。最悪の場合、東京で100万人近く死者が出るという、おそろしい指摘だ。

38ノースは、9月初めの北朝鮮による水爆実験を受けて、「250キロトン規模」の爆発が起こる場合も想定している。この場合、ソウルでは死者が「約122万~約203万人」、東京では死者が「約87万~約180万人」に上るという。考えたくもない数字だ。

38ノースのジェニー・タウン編集長(筆者撮影)

38ノースの編集長、ジェニー・タウン氏は10月30日、東京で「言論NPO」が開いた北朝鮮を巡るシンポジウムにいた。

タウン氏はこんな疑問を投げかけた。「(北朝鮮に対する)『強い態度』というのは、本当に今後も続けるべき政策なのだろうか? その政策は何を根拠にしたものなのだろうか? 私たちは、すでに北朝鮮に核兵器を保持させない、核技術を取得させないというポイントを超えてしまっていることに現実的になる必要がある。北朝鮮はそれらをすでに保有してしまっているのだから。これから先には、簡単な解決策など存在しないのです」

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